国際連合安全保障理事会決議2094

国際連合安全保障理事会決議2094について

国際連合安全保障理事会決議2094（UNSCR2094）は、2013年3月7日に国際連合安全保障理事会で全会一致で採択された、北朝鮮に対する制裁決議です。この決議は、2013年2月12日に北朝鮮が実施した3回目の核実験に対応するもので、過去の決議（1718、1874）を強化し、北朝鮮の核開発を阻止するための具体的な措置を定めています。

決議の背景

北朝鮮は、2006年、2009年に続く3回目の核実験を強行しました。これに対し、国際社会は北朝鮮の核兵器開発に対する強い懸念を示し、安保理決議2094を採択することで、北朝鮮への制裁を強化するに至りました。この決議は、国連憲章第7章に基づき、特に経済制裁に関する具体的な行動を定める第41条が言及されています。

主な内容

決議2094は、以下の主要な内容を含んでいます。

1. 一般規定
- 北朝鮮の核実験を非難し、さらなる挑発行為を禁止。
- ウラン濃縮を含むすべての核関連活動を非難し、核計画の完全放棄を要求。
- さらなる発射や核実験が行われた場合、安保理が追加の重要な措置を講じることを警告。

2. 金融制裁
- 核・ミサイル開発に関与する3個人と2団体を資産凍結対象に追加指定。
- 金融サービス提供禁止措置を核・ミサイル関連だけでなく、禁制品取引などの制裁回避行為にも拡大。
- 大量の現金移転を規制。
- 決議による禁止行為に関与する疑いのある北朝鮮の銀行口座開設やコルレス契約を禁止。
- 決議による禁止行為に貢献しうる公的な金融支援（輸出信用、保証、保険）を禁止。

3. 人に対する制裁
- 入国禁止措置を3人追加指定。
- 指定者以外も制裁回避行動をしたと国が認定した場合は同様に入国禁止とし、北朝鮮人の場合は人道上の理由などを除き送還。
- 北朝鮮の外交官が決議禁止行為に寄与しないよう各国に警戒を強化することを要請。

4. 物品の制裁
- 禁輸対象品目の追加指定。
- 核関連：フッ素系潤滑剤、UF6に耐食性のあるベローズ弁
- ミサイル関連：特殊耐食鋼、超高温セラミック複合材料、パイロ式バルブ、風洞に使用可能な計測及び制御装置、過塩素酸ナトリウム
- 化学兵器関連：毎時1立方メートルを超える吐出能力を持つ真空ポンプ等
- 既存の禁輸対象リストを12か月以内に更新することを制裁委員会に指示。
- 各国が貨物が核・ミサイル開発に寄与し得ると判断した場合、当該貨物の禁輸措置を行うことを要請・許容。
- 輸出禁止対象となる奢侈品の明確化（宝石類、貴金属、乗り物など）。

5. 貨物検査
- 禁制品の疑いがある貨物について、自国領域内での貨物検査を義務化。
- 公海での貨物検査要請を拒否する船舶の自国への入港を禁止（緊急の場合等を除く）。

6. 航空輸送制限
- 禁制品運搬の疑いがある航空機の離着陸および上空通過の禁止を要請（緊急の場合を除く）。

成立の経緯

• - 2013年2月12日：北朝鮮が3回目の核実験を実施。
• - 2013年3月7日：国連安保理で制裁を追加・強化する決議2094が全会一致で採択。

関連項目

• - 北朝鮮の核実験 (2006年, 2009年, 2013年)
• - 国際連合安全保障理事会決議 (825, 1540, 1695, 1718, 1874, 2087)

参考文献

• - 外務省: 北朝鮮による核実験に関する安保理決議の採択（概要）

決議2094は、北朝鮮の核開発に対する国際社会の強い姿勢を示すとともに、経済制裁や物品規制を通じて、北朝鮮の核開発を阻止するための具体的な枠組みを形成しています。

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