国際連合安全保障理事会決議2735

国際連合安全保障理事会決議2735

2024年6月10日、国際連合安全保障理事会は決議2735を採択しました。この決議は、アメリカ合衆国が主導し、ジョー・バイデン大統領が5月31日に提示した三段階の停戦案を基にしています。イスラエルはこの案を受け入れたとされますが、決議の採択直後、イスラエルの上級外交官であるレウト・シャピル・ベンナフタリ氏は、提案された交渉を「無意味で際限のないもの」として拒否する意向を示しました。これにより、決議の内容と当事者間の意見の不一致が明らかになりました。

停戦案の第一段階では、即時の停戦と、イスラエルの刑務所に収監されているパレスチナ人拘束者との交換によって、ガザ地区の特定の人質の解放が求められています。さらに、一部の人質の遺体の返還や、ガザ地区の避難民の帰還、イスラエル国防軍の人口密集地からの撤退も盛り込まれています。この最初の段階が実行されることで、次第にハマスに捕らわれている全ての人質が解放され、ガザ地区に恒久的な停戦が確立されることを目指すことになります。

また、決議はガザ地区の人口に関する統計や領域の変更を拒否し、パレスチナ自治政府の下でガザ地区とヨルダン川西岸の統一を目指すこと、さらには二国家解決の支持を再確認しています。14の理事国が賛成し、ロシアが棄権する形で決議が採択されましたが、イスラエルが停戦案を受け入れているというアメリカの主張には、他の理事国からの懸念も提示されています。

採決と反応

採決の際、各国の反応は様々です。イスラエルの国連大使は人質と停戦に関する提案について明確な姿勢を示さず、首相が人質全員の解放とハマスの軍事的解体を求めて戦闘を続ける意向をあると述べ、決議内容に対する疑問を投げかけました。一方で、パレスチナのマフムード・アッバース大統領は決議案の採択を歓迎し、ハマスのサミ・アブ・ズフリ氏も停戦決議の受け入れを表明しました。

ロシアは、アメリカが停戦案の具体的な内容を他の理事国に開示していないことを問題視し、採決は不透明な状況で行われたと指摘しています。このように、国連安保理決議2735は、イスラエルとパレスチナの間の緊張を緩和させるための重要なステップであると同時に、それぞれの立場の違いが露わになった場でもありました。今後の動向が注視されます。

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