国際連合安全保障理事会決議687

国際連合安全保障理事会決議687（UNSCR687）

国際連合安全保障理事会の決議687は、1991年4月3日に採択され、イラクとクウェートの廃戦後の情勢を扱った重要な文書です。この決議は、湾岸戦争の終結を受けて、イラクに対し和平の条件として9つの主要項目を定めており、その内容は全33項目にわたります。決議687は賛成12票、反対1票、棄権2票という結果で成立しました。

決議の主な内容と要請事項

決議の中で特に注目すべきは、イラクに対する9つの具体的要求です。これには、以下のような約束が含まれています。

1. 化学・生物兵器の廃棄：イラクは、全ての化学及び生物兵器を国際監視下で無条件に廃棄することを求められました。さらに、その製造及び開発に関わる全ての施設を破壊または無力化する義務があります。

2. ミサイルの処理：射程150キロを超える全ての弾道ミサイルを廃棄することが条件として挙げられており、国際的な監視下での実施が求められました。

3. 核拡散防止条約の遵守：イラクは、核兵器及びその材料を開発または取得しないことを約束しました。また、核拡散防止条約に基づく義務も再確認されています。

4. 国際監視機関への協力：国際原子力機関（IAEA）の立入査察を受け入れ、その報告に基づいた行動をとることが必要です。

5. 行方不明者・戦争賠償の情報提供：クウェート人などの行方不明者に関する情報を提供し、湾岸戦争中に没収された財産の返還も求められています。

重要性と影響

この決議は、イラクに対し国際社会が特に化学兵器や生物兵器の廃棄を求める姿勢を明確に示したものです。また、国連決議687が遵守されるかどうかが、後のイラク戦争の正当性に関する議論にも影響を与えました。アメリカとイギリスが新たな決議を求めずに武力行使を行った際、彼らはこの決議を含む過去の決議に基づいて、イラクの行動が国際法に違反していると主張しました。

関連情報

決議687は、国際連合安全保障理事会の他の決議、特に決議660、661、678、1441などと一緒に考慮されることが多く、これらの決議群はイラク問題に対する国際的な枠組みを形成しています。国際連合の武装解除に関する活動や監視体制、イラクにおける人道的支援活動も、この決議によって推進されました。

このように、国際連合安保理決議687は、湾岸戦争の終息後のイラク情勢を安定させるための重要な枠組みを提供した決議として、国際的にも広く認識されています。

もう一度検索