国際連合憲章第7章

国際連合憲章第7章：平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動

国際連合憲章第7章は、国際社会の平和と安全を維持するための重要な規定を定めています。この章は、「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為」が発生した場合に、国際連合安全保障理事会（以下、安全保障理事会）がどのような行動をとることができるかを規定しています。

安全保障理事会の権限と行動

第7章において、安全保障理事会は、国際的な平和と安全に対する脅威の存在を決定する権限を有しています（第39条）。脅威が存在すると判断した場合、安全保障理事会は、紛争当事国に対して事態の悪化を防ぐための暫定措置を要請することができます（第40条）。

安全保障理事会は、非軍事的強制措置（第41条）と軍事的強制措置（第42条）のいずれか、または両方を選択することができます。非軍事的措置の代表例としては、経済制裁や臨検などが挙げられます。軍事的措置は、安全保障理事会と加盟国との間の特別協定に基づいて提供される兵力、援助、便益によって行われます（第43条）。

しかし、この特別協定の締結例がないため、第43条から第46条は事実上機能していません。また、国連軍の指揮を執る軍事参謀委員会（第47条）も、本来想定されていた機能は限定的なものとなっています。

自衛権の行使（第51条）

国際連合加盟国に対する武力攻撃が発生した場合、安全保障理事会が平和と安全の維持に必要な措置を講じるまでの間、加盟国は個別的または集団的自衛権を行使することができます（第51条）。ただし、加盟国が自衛権を行使した場合は、その措置を直ちに安全保障理事会に報告しなければなりません。

内政不干渉原則の例外と法的拘束力

国際連合憲章第7章は、内政不干渉原則の例外として扱われます（第2条7項）。安全保障理事会が第7章に基づいて決定した措置は、加盟国に対して法的拘束力を持ちます（第25条）。さらに、第7章に基づく義務は、他のいかなる条約や協定よりも優先されます（第103条）。

各条文の概説

第41条（非軍事的措置）: 経済制裁、外交関係の断絶、交通・通信の遮断などが含まれます。
第42条（軍事的措置）: 武力制裁、海上封鎖、空爆などが含まれます。
第51条（自衛権）: 武力攻撃を受けた国が、単独または他国と協力して行う自衛の権利を定めています。

まとめ

国際連合憲章第7章は、国際社会の平和と安全を維持するための重要な枠組みです。安全保障理事会に広範な権限を与え、平和に対する脅威に対処するための手段を提供しています。ただし、その運用には課題も存在し、安全保障理事会の意思決定の偏りや、常任理事国の拒否権行使などが問題視されることもあります。しかし、国際連合憲章第7章は、依然として国際平和維持活動における重要な法的根拠であり、国際社会の安定に不可欠な役割を果たしています。

関連項目

国際連合

外部リンク

国際連合憲章（日本語）（国際連合広報センター）
国際連合憲章（英語）（国際連合）
* List of Chapter VII resolutions, 1946-2002

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