国際障害者年

国際障害者年（1981年）：完全参加と平等への取り組み

1981年は、国際連合によって「国際障害者年」と定められました。これは、1971年の「精神薄弱者の権利宣言」と1975年の「障害者の権利宣言」を受け、それらの理念を社会で実現するための重要な一歩でした。国連総会は、障害者の社会参加促進を目的として、国際障害者年の開催を決定しました。

国際障害者年のテーマは「完全参加と平等」であり、具体的な取り組みとして以下の内容が掲げられました。

1. 社会参加の促進: 身体的・精神的な面から障害者の社会への適合を支援するための取り組みが推進されました。適切な支援、訓練、治療、指導の提供、そして雇用機会の創出などが含まれていました。
2. 生活環境の整備: 障害者が日常生活で公共建築物や交通機関を円滑に利用できるよう、調査研究プロジェクトが奨励されました。バリアフリー化に向けた取り組みの始まりと言えるでしょう。
3. 意識啓発: 障害者が経済、社会、政治活動に参画し、貢献する権利について、広く一般の人々に理解を深めてもらうための教育と啓発活動が重要視されました。
4. 予防とリハビリテーション: 障害の発生予防と効果的なリハビリテーションのための施策の推進が謳われました。

国際障害者年は、単なる1年間の取り組みではなく、その後も続く様々な活動の礎となりました。1982年には、国際障害者年の成果を踏まえた「障害者に関する世界行動計画」が国連総会で採択されました。

この計画の実施を目的として、1983年から1992年までの10年間は「国連・障害者の十年」と宣言され、世界各国で計画的な課題解決に向けた取り組みが進められました。さらに、アジア太平洋地域では、障害者への認識を高め、地域における障害者施策の質を向上させるため、「アジア太平洋障害者の十年(1993-2002)」が国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)によって採択され、その後2012年まで延長されました。

国際障害者年は、単なる一過性のイベントではなく、障害者を取り巻く社会環境の改善に向けて、世界規模で持続的な取り組みが開始された重要な節目となりました。 この取り組みは、現在も世界中で続けられ、障害者の権利擁護と社会参加促進のための様々な政策や活動に繋がっています。 国際[[障害者デー]]や障害者週間といった、障害者への理解を深めるためのイベントも、国際障害者年の精神を受け継いでいると言えるでしょう。

国際障害者年の活動は、世界中の障害者とその家族、そして社会全体の意識改革に貢献し、よりインクルーシブな社会の実現に向けて大きな一歩を踏み出しました。 この歴史的意義は、現代においても障害者支援や権利擁護の活動を推進する上で、重要な指針となっています。今後の更なる発展が期待されます。

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