国際難民機関

国際難民機関（IRO）の設立と活動の概要

国際難民機関（International Refugee Organization、略称：IRO）は、第二次世界大戦によって生じた難民の増加に対処することを目的に、1946年4月20日に設立されました。この機関は、設立の14ヶ月前から準備委員会によって活動が開始されていました。国際連合の専門機関の一つであり、当初は連合国救済復興機関の機能を引き継ぎ、難民に対する支援を行うための土台を築きました。

国際難民機関の憲章は1946年12月15日に国連総会で採択され、機関の活動範囲と機能が明確に定義されました。しかし、この憲章には「ドイツ民族起源の人々」に関する定義が含まれており、戦後ドイツへの追放者を「当機関の関知しない」個人として除外しました。この措置は様々な論争を引き起こし、結果として西側同盟諸国とソ連の間に意見の相違が生じ、IROは西側占領地域でのみ活動を行うこととなりました。

設立当初、国際難民機関は18ヶ国によって批准されました。オーストラリア、ベルギー、カナダなどが含まれ、特にアメリカ合衆国は年間予算の約40%にあたる1億5500万ドルを負担しました。このように、主要国からの支援を受けて、国際難民機関はその活動を続けました。

最初の事務局長にはウィリアム・ハラム・タックが就任し、1949年7月31日にはJ・ドナルド・キングズリーがその職を引き継ぎました。国際難民機関は1951年9月30日まで存続し、その活動の中で約1,046,000人の難民の定住を支援し、74,000人の難民を本国に送還する成果を上げました。

また、国際難民機関は映画制作にも関与しており、特に1948年のフレッド・ジンネマン監督による「山河遥かなり（The Search）」では、ドイツにおける児童難民に関する内容が扱われました。このように、IROは難民に対する人道的な支援を広範囲に実施し、さまざまな分野でその成果を上げました。

国際難民機関は1951年に活動を終了し、その後、国連難民高等弁務官事務所（UNHCR）が組織として後を引き継ぎ、引き続き難民問題への取り組みを行っています。国際難民機関の歴史は、戦後の国際社会における難民支援の重要性を示すものであり、その活動がどのように発展してきたのかを知る上で重要な位置を占めています。

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