國語元年

『國語元年』

『國語元年』（こくごがんねん）は、1985年の6月から7月にかけてNHK総合テレビジョンとNHK衛星第1テレビジョンで放送されたテレビドラマです。この作品は、著名な作家井上ひさしが手掛けた脚本に基づき、明治時代の日本における言語統一の試みを描いています。全5回で放送されたこのドラマは、後に戯曲としても上演され、好評を博しました。

あらすじ

物語は、大竹ふみが故郷に送った手紙のモノローグからスタートします。大竹ふみは南郷清之輔の家で働くお手伝いをしているのですが、そこで彼女は地域特有の言葉が飛び交う様子を体験します。南郷清之輔は文部省の官僚で、「全国統一話し言葉」の作成を命じられ、地元の言葉を観察することから作業を始めます。この仕事は想像以上に困難なものとして、清之輔はその大変さを次第に理解します。

その清之輔のもとに、自称国学者の裏辻芝亭が訪ねてきます。彼は過去の成功例を引き合いに出し、自分こそがこのプロジェクトに必要だと主張します。しかし、言語の標準化が国家にとってどれほど重要なことかを感じながらも、清之輔はなかなか作業を進められません。そんな折、強盗の若林虎三郎が現れ、彼もまた言葉の大切さを語りますが、清之輔は彼との交流を通じて、ますます混乱の度合いが増していきます。

清之輔は最終的に様々な言葉を混ぜることで、新たな「文明開化語」を考案しますが、これは思いもよらぬ悪影響をもたらします。そして、清之輔の身にもある事件が発生します。役職を解任されて休職処分を受け、その後のショックで彼は精神的な危機に直面します。物語は、清之輔の発狂と南郷家の人々がそれぞれの道を選ぶ様子で締めくくられます。

キャラクター

• - 南郷清之輔：主人公。文部省の官吏で、言語統一の仕事に取り組むが、様々な困難に直面。
• - 南郷重左衛門：清之輔の義父。薩摩出身で、息子を支えつつも自らの戦争に身を投じる。
• - 南郷光：清之輔の妻。家庭を支える優しい存在。
• - 若林虎三郎：会津出身の強盗で、清之輔の言語プロジェクトに一役買う。
• - 裏辻芝亭：面白おかしい国学者で、清之輔の試行錯誤の中で重要な役割を果たす。

この作品はただのドラマに留まらず、明治時代の日本における国語政策や地域の文化に対する考察を深める機会ともなっています。戦後の日本における言語の統一性を考える上で、非常に興味深い題材となっているのです。『國語元年』は、演劇としての魅力も併せ持つ作品であり、現代においてもその意義を再評価されています。

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