園田眞理子

園田眞理子

園田 眞理子（そのだ まりこ）は、日本の建築学を専門とする研究者であり、現在、明治大学理工学部建築学科の教授を務めている。彼女の研究対象は多岐にわたり、特に人々の暮らしと密接に関わる建築計画、住宅および住環境の計画、そして現代社会における住宅政策論を専門としている。

経歴

石川県に生まれた園田眞理子は、千葉大学工学部建築学科で建築学の基礎を学んだ。1979年に同学科を卒業後、さらに研究を深めるため同大学大学院工学研究科に進み、1981年に修士課程を修了した。大学院修了後は、実務の経験を積むべく、1981年から（株）市浦都市開発建築コンサルタンツに勤務し、都市開発や建築に関するコンサルティング業務に携わった。続いて1985年からは、（財）日本建築センターに移り、建築基準や技術に関する業務に従事した。

実務経験を積む傍ら、研究活動も続け、1993年には千葉大学大学院自然科学研究科の博士課程を修了している。研究者としての道を本格的に歩み始め、1997年には明治大学理工学部建築学科の専任講師に就任した。その後、2000年には同大学の助教授に昇進し、教育および研究活動に一層注力した。2007年には、千葉大学より博士（工学）の学位を取得しており、その際の論文テーマは「高齢者同居家族の居住空間とその概念構造に関する研究」であった。これは、後の彼女の研究テーマの一つである「高齢者の住まい」に関する重要な基礎となっている。そして2009年、明治大学理工学部建築学科の教授に就任し、現在に至る。

研究と活動

園田眞理子教授の専門分野は、住宅・住環境計画、建築計画、そして住宅政策論であり、これらの分野を通じて、人々のより良い暮らしを実現するための建築や都市のあり方を追求している。特に、少子高齢化が進行する現代社会において、高齢者の住まいに関する問題意識を強く持っている。全ての高齢者が特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームといった従来の施設に入居することを望むわけではなく、また身体状況や生活ニーズも多様化している現状を踏まえ、高齢者の多様な住まい方の選択肢を広げることの重要性を指摘している。

その提言の一つとして、メディアなどでも積極的に発言しているのが「高齢者向けシェアハウス」の可能性である。これは、施設に入所するほどではないものの、一人暮らしや夫婦二人暮らしでは将来に不安を感じる人々に対し、新たな居住形態を提供するという考え方である。共同生活の中でゆるやかな繋がりを持ちつつ、それぞれのプライバシーも確保できるシェアハウスは、高齢者の孤立を防ぎ、安心して暮らせる環境を提供する可能性があるとしている。このような新たな住まい方の提案を通じて、高齢者が地域社会の中でいきいきと暮らし続けられるよう、研究と提言を続けている。

主な業績

園田教授は、研究活動の成果を多くの著書や論文として発表している。特に、他分野の研究者や実務家との共著が多く、その研究が多様な視点や実践的な知見に基づいていることを示している。主な共著としては、『ユニバーサルデザインとはなにかバリアフリーを超えて』（1998年）、『変貌する住宅市場と住宅政策』（1999年）、『ユニバーサルデザイン入門』（2002年）、『家族のライフスタイルと住まい』（2002年）、『データで読みとく都市居住の未来』（2005年）などがある。これらの著作は、ユニバーサルデザインの普及、変化する住宅市場の分析、家族構成の変化と住まいの関係、都市居住の将来像など、現代の住宅・住環境を取り巻く様々な課題を論じている。また、専門家としての知見を社会に発信するため、NHKの『団塊スタイル』など、メディアにも出演している。

園田眞理子教授の研究活動は、高齢者の住まいをはじめとする現代社会の多様なニーズに対応した建築・住環境のあり方を追求しており、その成果は教育、研究、そして社会への提言という形で広く貢献している。

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