圓山重直

圓山 重直（まるやま しげなお）

圓山重直（まるやま しげなお、1954年11月生まれ）は、日本の熱工学および流体工学の専門家であり、東北大学名誉教授を務めている現職の八戸工業高等専門学校校長です。彼は1983年に東北大学より工学博士の学位を取得しました。

学問の道と職歴

彼の学問の旅は新潟県新潟市でスタートし、幼少期を新発田市で過ごしました。新潟県立新発田高等学校を卒業後、東北大学工学部に進学し、大学1年生の際には友人たちと共にリリエンタール型の複葉ハンググライダーを設計・製作しました。大学2年生になると、その機体の試験飛行を成功させました。この経験が、彼の技術者としてのキャリアを形作る基礎となったのです。

大学を卒業した後、村井等教授の指導の下で大学院に進学し、セイルウイングの研究を行いました。その間にはロンドン大学インペリアルカレッジへ留学し、P.Bradshaw教授に師事して風車に関する研究にも取り組みました。1983年に博士号を取得し、東北大学高速力学研究所の助手としてキャリアをスタートし、多様な研究テーマへの挑戦を続けました。

主な研究業績

圓山氏の研究は非常に多岐にわたります。特に、ふく射エネルギーに関する研究は顕著で、ナノ構造体からの熱放射の空洞量子効果を初めて実験的に示すことに成功しました。また、ナノ粒子を利用したふく射エネルギーの制御に新たな可能性を見出しました。これに加えて、地球環境のふく射伝熱に関しても研究を行っており、成層圏へのナノ粒子散布による地球温暖化の抑制策を提案しています。

彼はまた、Stommelの永久塩泉の原理を海洋実験において実証し、深層水を利用して海洋砂漠の肥沃化を進める「ラピュタプロジェクト」を推進しました。さらには、二酸化炭素を排出しない新たな発電手法や、海洋メタンハイドレートを利用した低排出型発電システムの研究にも取り組んでいます。

教育と啓蒙活動

圓山氏は教育者としても多くの著作を持ち、特に日本機械学会が発行するJSMEテキストシリーズの「熱力学」や「伝熱工学」は、機械工学分野における標準的なテキストとなっています。また、彼は2011年の福島第一原子力発電所事故後、その解析結果を元に事故の早期収束に向けた提言を続け、同事故に関する学術論文や読者向けの書籍も執筆しています。

さらに、彼は日経産業新聞社のコラムで科学技術の啓蒙に努め、広く一般の人々に向けた情報発信を行っています。

受賞歴と今後の展望

これまでに数多くの賞を受賞しており、その中には日本機械学会賞や紫綬褒章（2012年）が含まれます。彼の研究と教育への貢献は、多くの評価を受けています。今後も、圓山重直は日本の工学界において重要な影響を持ち続けると期待されます。

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