土地調査事業

土地調査事業の概要

土地調査事業は、日本の統治下にあった台湾と朝鮮で実施された重要な計画で、土地所有の明確化を目指して行われました。これにより、各地域の土地関係が整備され、税収の向上や土地に関する法的トラブルの解消が図られました。

台湾での土地調査

背景

日本が台湾を統治する前の時代、土地所有は複雑なシステムに支配されていました。一つの土地に複数の地主が存在し、政府に認定された「業主権」を持つ大地主と、実際の所有権を持つ小地主の関係は混乱を招いていました。この状況を改善するため、1885年に台湾巡撫の劉銘伝は、土地所有権の整理を試みましたが、納税への課題から民衆の反発を受け、失敗に終わりました。

台湾総督府の土地調査事業

1898年、台湾総督府は「台湾地籍規則及び土地調査規則」に基づき、土地調査を始めました。この調査は、台北を始点として、台湾全土に広がり、土地の所有状況や税の取り決めが整備されていきました。調査は、まず告示、次に委員を通じた申告書類作成、実地調査を経て、最終的に詳細な地図作成に至るという手順で進められました。この間、街庄長と呼ばれる地方の管理者が大きな役割を果たしました。

大租権の整理

土地調査と並行して、総督府は大租戸と小租戸との間の関係を整理しました。1904年には、大租権整理令が公布され、大租権者への補償金が支払われました。これにより、「一田多主」の制度が解消され、より明確な土地所有権が確立されました。

成果と影響

調査を通じで、台湾全体の耕地面積は約63万甲に増加し、これが税収の向上につながりました。土地所有権が確立されることで、土地の売買も進み、大規模な公共開発が行えるようになり、台湾の経済は日本資本主義化に向かう重要な一歩を踏み出しました。しかし、この格局は田畑に限られ、森林地帯の調査は別途行う必要がありました。

朝鮮での土地調査

背景

日韓併合後、日本は朝鮮で土地調査を行い、大資本の土地投資を促進しました。その結果、地価の安さを背景に、日本人農業移民が流入し、土地所有権は従来の農民から大地主へと移っていきました。

土地調査の概要

1906年以降、朝鮮総督府は土地問題を財政政策の一環として捉え、土地家屋証明規則が公布されるなど、外国人の土地所有を可能にする仕組みを整えました。これにより、1910年から1918年にかけて大規模な土地調査が実施され、所有権の確認、地価の査定が行われましたが、多くの農民の権利は無視されました。

調査結果

最新の土地調査によって、農地面積は大幅に増加しました。結果として、多くの農民が土地を失い、地主の権利が強化されてしまいました。この土地調査事業が進む中、184万町歩以上の農地が新たに課税対象となり、地主と農民の間の格差が拡大しました。

まとめ

土地調査事業は、日本による台湾と朝鮮の統治において、重要な役割を果たしました。台湾では、土地の整理と税収の向上を実現し、一方で朝鮮では多くの農民が土地を失い、地主層が強化される結果となりました。この調査により、各地域の土地状況が明確になり、経済の構造が大きく変化しました。

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