土師半六

土師半六：波乱に満ちた政治家人生

土師半六（はぜ はんろく）は、1911年10月26日に生まれ、1996年11月27日に没した日本の政治家です。彼は第14代堺市長としてその名を知られていますが、それ以前には大阪府議会議員を4期務め、府会副議長（第58代）も経験しています。

教員から政界へ

土師は天王寺師範学校（現在の大阪教育大学天王寺キャンパス）を卒業後、小学校の教員としてキャリアをスタートさせました。太平洋戦争後の1947年3月には、泉北郡取石国民学校の校長に就任（同年4月からは泉北郡取石村立小学校、現在の高石市立取石小学校）。

彼の人生が大きく変わるきっかけとなったのは、上京した際の地元選出の衆議院議員、西村栄一との出会いです。西村に政界入りを誘われた土師は、村会議員となり、1949年には泉北郡から大阪府議会議員に当選。以後、党籍を右派社会党、日本社会党、民主社会党・民社党と変えながら、府議として4期を務めました。1964年からの1年間は府会副議長を務めています。

堺市長として

長らく堺市長を務めた河盛安之介の引退後、1971年の堺市長選に立候補。民社党の支持基盤である民間労組の強固な支持に加え、分裂状態にあった保守系の支持も取り込み、社会党や共産党の候補を抑えて見事初当選を果たしました。

市長当選の翌日、土師は上京し、病床で危篤状態にあった西村栄一を見舞いました。奇跡的に意識を取り戻した西村は、わがことのように喜び、その数時間後に静かに息を引き取ったと伝えられています。

汚職事件と辞職

しかし、土師の市長としての道のりは長くはありませんでした。1972年、浪速医科大学（仮称、不認可）の開学をめぐる詐欺・横領事件が摘発されると、政治家などへの資金工作が表面化。土師市長にも、留守中に100万円の現金が届けられていたことが判明します。現金は返却したものの、検察からは収賄と認定され、5月2日に逮捕されました。

土師は処分保留のまま5月中に釈放され、続く6月に提出された不信任決議案も否決されました。しかし、捜査が進み事件の全容が明らかになるにつれ、市民や野党からの批判が噴出。9月には再度不信任決議案が上程され可決。更なる市政の混乱を避けるため、議会を解散せずに10月に辞職しました。

土師半六の政治家人生は、地方政治の舞台でその手腕を発揮した一方で、汚職事件という暗い影を落とした、波乱に満ちたものでした。

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