圧痛点

身体を診る重要な手がかり：圧痛点

医師が患者さんの身体を診察する際、指で押さえて痛みを調べる方法があります。この時、特に強く痛みを感じる点を「圧痛点」と呼びます。圧痛点の位置は、様々な疾患と関連しており、診断において重要な手がかりとなるのです。圧痛点の位置を特定することで、患者の症状をより正確に把握し、適切な治療へと繋げることが期待できます。

代表的な圧痛点

ここでは、よく知られている代表的な圧痛点について、その位置と関連する疾患を詳しく説明します。

1. マックバーネー点:

これは最も有名な圧痛点の一つで、虫垂炎の診断に欠かせません。具体的には、へその位置と右側の上前腸骨棘（骨盤の一番上の部分にある骨の出っ張り）を結んだ線の、上前腸骨棘から約5cm外側の点です。この圧痛点は、外科医チャールズ・マックバーネー氏の名にちなんで名付けられました。

2. ランツ点:

同じく虫垂炎の診断に用いられる圧痛点です。左右の上前腸骨棘を結んだ線の、中央から右側に3分の1ほどの位置にあります。マックバーネー点と同様に、虫垂炎の疑いがある場合に検査されます。

3. ボアス点:

胃潰瘍の診断に関連する圧痛点で、第10～12胸椎の左側、約3cmの位置にあります。胸椎は背骨の一部であり、この位置の圧痛は胃潰瘍を示唆する可能性があります。

4. ボアス胆嚢点:

胆道系の疾患、例えば胆石や胆嚢炎などを疑う際に検査される圧痛点です。第9、10胸椎の右側あたりに位置します。

5. 小野寺臀部点:

胃潰瘍や十二指腸潰瘍の診断に関連する圧痛点です。上前腸骨棘と上後腸骨棘（骨盤の後方にある骨の出っ張り）の中間で、腸骨稜（骨盤の上縁）から約3cm下方に位置します。日本の医師、小野寺直助氏の名前に由来しています。

6. モンロー点:

ムンロー点、マンロー点とも呼ばれるこの圧痛点は、虫垂炎の診断に用いられます。右上前腸骨棘とへその位置を結んだ線の中央に位置します。

7. レンズマン点:

これも虫垂炎の診断に用いられる圧痛点です。両側の上前腸骨棘を結んだ線の、右上前腸骨棘から約5cm外側の位置にあります。

圧痛点の重要性

圧痛点は、医師が患者の症状をより深く理解する上で非常に重要な手がかりとなります。これらの圧痛点を正確に特定し、他の検査結果と組み合わせることで、より正確な診断を下し、適切な治療を行うことができます。しかし、圧痛点の情報だけで診断を確定することはできません。必ず、他の検査結果や患者の症状を総合的に判断する必要があります。

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