在来品種

在来品種（Landrace）とは

在来品種とは、特定の地域環境（気候、土壌、病害虫など）に適応し、その土地の農業や文化の中で長年にわたり育成・維持されてきた家畜や栽培植物の品種を指します。英語では「Landrace」と呼ばれます。

特徴

地域適応性: 最も重要な特徴は、その土地の環境に高度に適応していることです。厳しい自然条件や限られた資源の中でも、安定した生産を維持できます。
遺伝的多様性: 多くの遺伝的変異を含んでおり、環境変化や新たな病害虫の発生に対して、品種全体としての抵抗力や適応力を持ちやすいです。
独自の品質: 地域独特の食味や風味、加工適性などを持つ場合があり、地域の食文化を支えています。
伝統との結びつき: 地域の伝統的な農業技術や文化と深く結びついており、地域の歴史や文化を伝える役割も担っています。

重要性

1. 生物多様性の保全: 遺伝資源の多様性を維持する上で非常に重要です。近代的な品種改良が進む中で、失われつつある貴重な遺伝子を保存する役割があります。
2. 持続可能な農業への貢献: 化学肥料や農薬への依存度が低い場合が多く、環境負荷の少ない持続可能な農業に貢献できます。
3. 食文化の多様性の維持: 地域独特の食味や風味を持つ在来品種は、食文化の多様性を豊かにし、地域社会の活性化にもつながります。

保全の課題

生産性の低さ: 一般的に、近代的な品種に比べて生産性が低い場合があります。
後継者不足: 伝統的な農業を担う後継者不足が深刻化しており、在来品種の栽培や管理技術の継承が難しくなっています。
市場ニーズの変化: 消費者の嗜好の変化や市場のグローバル化により、在来品種の需要が減少する可能性があります。

保全の取り組み

遺伝資源の収集・保存: 農業生物資源ジーンバンクなどが、在来品種の遺伝資源を収集・保存しています。
栽培支援: 在来品種の栽培に取り組む農家への技術指導や経済的支援が行われています。
ブランド化: 在来品種の独自性を活かした商品開発やブランド化が進められています。
教育・普及: 在来品種の価値や重要性を広く伝えるための教育や普及活動が行われています。

在来品種は、地域の環境と文化の中で育まれた貴重な財産です。その保全と活用は、生物多様性の保全、持続可能な農業の推進、食文化の多様性の維持に貢献するとともに、地域社会の活性化にもつながります。

関連項目:

品種 (家畜)

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