地中海学会

地中海学会とは

地中海学会（ちちゅうかいがっかい、英名 Collegium Mediterranistarum）は、地中海およびその周辺地域、すなわち環地中海域に関する多角的な総合研究を推進し、関連分野の研究者や文化人の間の交流を深めることを目的に、1977年5月に設立された日本の学術団体です。人文科学、社会科学、自然科学など、幅広い領域を横断する視点から地中海世界を捉えようとしています。

学会の事務局は、2014年8月以降、東京都港区元麻布に置かれています。

設立の背景と理念

学会設立の根底には、地中海地域が人類の歴史において、先史時代から現代に至るまで、環地中海域および内陸部の文化形成にとって極めて豊穣な源泉であり続けてきたという深い認識があります。その特有の風土と、それに育まれた感覚的な特性は、周辺地域の多様な文化が花開く上での重要な基盤の一つと考えられています。設立趣意では、地中海的な感性への深い洞察には、単なる学術的分析に加え、文学者、詩人、芸術家といった作り手たちの視点を通じた感性的な理解が不可欠であるという理念が掲げられています。これにより、アカデミズムの枠を超えた幅広い視点からの地中海研究を目指しています。

主な事業内容

地中海学会は、設立目的を達成するために多岐にわたる活動を展開しています。その中心となるのは、研究成果の発表や意見交換のための場を提供することです。具体的には、講演会、シンポジウム、研究会などを定期的に開催し、会員の研究活動を促進しています。

また、研究成果を広く公開するための出版活動も重要な柱です。年刊の学術雑誌『地中海学研究』では、専門性の高い論文が掲載されており、地中海研究における最新の知見が共有されています。さらに、『地中海学会月報』（年10回発行）を通じて、学会の最新情報や関連イベントの情報などが会員に提供されています。

これらの活動に加え、地中海地域に関する文献や資料の収集を行い、研究基盤の整備に努めています。さらに、地中海世界の文化的一側面を紹介する公開音楽会などを開催し、学術的な側面だけでなく、文化的な魅力の発信にも力を入れています。

顕彰制度

地中海学会は、地中海研究や文化交流に顕著な貢献をした個人や団体を顕彰するための制度を設けています。「地中海学会賞」は、学術的な業績や地中海地域との文化交流への貢献に対して授与される権威ある賞です。

また、若手研究者の育成を奨励するため、「ヘレンド賞」を設けています。この賞は、ヘレンド社およびその日本総代理店である星商事株式会社からの支援を受けて運営されており、将来を担う若手研究者の活躍を後押ししています。

組織

地中海学会の現在の役員体制は以下の通りです。

• - 会長：小佐野 重利
• - 副会長：小池 寿子、高山 博
• - 事務局長：秋山 聡

これらの役員を中心に、学会の運営が行われています。

歴代会長

地中海学会は、設立以来、日本を代表する様々な分野の研究者や文化人が会長を務めてきました。歴代会長は以下の通りです。

• - 初代：谷川 徹三 （1977年～）
• - 第2代：村川 堅太郎
• - 第3代：牟田口 義郎
• - 第4代：桐敷 真次郎
• - 第5代：高階 秀爾
• - 第6代：樺山 紘一
• - 第7代：青柳 正規
• - 第8代：陣内 秀信
• - 第9代：本村 凌二 （2017年～2021年）
• - 第10代：小佐野 重利 （2021年～）

これらの会長のもと、地中海学会は長年にわたり学術的な発展と国際交流に貢献してきました。地中海学会は、今後も地中海世界の多様な側面を探求し、その魅力と重要性を国内外に発信し続けることでしょう。

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