地域

地域の概念

地域（ちいき）は、地形や性質が共通しているために、ひとつのまとまりとして捉えられる土地を指します。この用語は地理学において重要な意味を持ち、様々な学問分野でも用いられています。本記事では、地理学における地域の定義と、それに関する重要な理論、国ごとの視点の違いについて詳しく解説します。

地理学における地域の定義

特に人文地理学や地誌学において、地域の概念は欠かせない要素です。日本の地理学辞典（1973年発行）では地域を、地形や性質の類似性から束ねられた土地だと説明しています。この定義が全ての地理学者に受け入れられているわけではなく、1950年代から60年代にかけてアメリカやイギリスでの「伝統地理学」への見解は異なり、批判がありました。それに伴って、地域の理解は進化し続けています。

地域論の国際的視点

ドイツの地域論

ドイツでは、カロル（H. Carol）の地域論が注目されています。彼によれば、地域は「さまざまな要素からなる複合体」であり、地表圏を構成する気圏や生物圏、人類圏、水圏、岩圏といった要素が一体となって形成されます。ドイツでは地域論がいかに人間と社会、空間との関係を探求するかが重要視されており、機能を通じた研究が進められています。

アメリカ・イギリスの地域論

アメリカの地理学者ダウエント・ホイットルセーは、地域を「一体性を持つ地表の広がり」と定義し、これを単一指標地域、複合指標地域、全体地域に分けました。彼の定義は地域を区画する基準が必要だとし、時には「地域は虚構である」との主張がなされることもあります。

日本の地域論

日本では、ドイツのLandschaft論や英米のRegion論が融合し、学者によって異なる見解が存在します。京都大学の水津一朗は、地理学的方法論を数学的に解析し、地域の構成要素を整理しています。一方、東京大学の木内信蔵は、地域を地表面の一部分とし、空間的な関係や隣接する空間からの区別を重視しています。

地域の種類

地域の概念を整理すると、個別地域と類型地域のように具体的な地名を持つ唯一の場所といったものから、形式地域と実質地域のようにその性質が異なるものに至るまで多岐にわたります。

等質地域と機能地域

等質地域は地形や土地利用によって表現される一方、機能地域は中心点を持つ結節点によって結びつく空間です。これにより、生活圏や通勤圏が形成されます。

政治学・経済学における地域の考え方

地域という用語は、政治学や経済学でも用いられますが、地理学ほどの詳細な議論は見られません。例えば、政治学においてはジュリアン・スチュワードの「世界地域」の考え方が一般的であり、特定の文化や国家に関連する区域が「地域」として捉えられます。経済学では、地域は一般に資本や労働が移動しやすい空間として位置づけられ、さまざまな範囲が考えられています。

言語学における地域の捉え方

言語学では、地理的に近い言語同士が共通する音韻や文法の特徴を持つことが多く、これが「言語連合」と呼ばれる概念として理解されています。このように、地域の概念はさまざまな分野でそれぞれ独自に発展し、多面的な視点から考察されています。地域は単なる地理的な定義を超え、人間の生活や社会構造そのものと密接に関連しています。

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