地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律

地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律

この法律は、地方公共団体の議会の議員および長の選挙、特に日本の地方自治体における大規模な選挙である統一地方選挙の実施期日を定めるための臨時的な特別措置法です。通称「統一地方選特例法」と呼ばれ、公職選挙法における選挙期日に関する規定に対して、例外を設ける役割を担っています。統一地方選挙は原則として4年ごとに実施されますが、その都度、この法律が新たに制定されることで、具体的な選挙日程が確定します。

法律の概要と主な内容

「地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律」は、その名称が示す通り、統一地方選挙の選挙期日を年月日で具体的に規定するものです。この法律は、統一地方選挙が実施される直前の国会で政府によって提出され、審議を経て成立します。このため、統一地方選挙の回数を重ねるごとに、同名の法律が複数回制定されてきました。

この法律で定められる内容は、主に以下の点を中心としています。

選挙期日の特例: 該当する年の3月1日から5月31日までの間に任期が満了する地方公共団体の首長や議会議員の選挙を、原則として統一地方選挙の対象とします。そして、公職選挙法の定める期日計算によらず、この法律で指定された期日（具体的に年月日が記載されます）で選挙の告示および投票を実施することが定められます。
対象期間の拡大: 該当する年の6月1日から6月10日までの間に任期が満了する場合についても、統一地方選挙の日程に合わせて選挙を行うことが可能となる規定が設けられることがあります。
重複立候補の制限: 都道府県または政令指定都市の選挙に立候補した候補者は、その選挙区が含まれる区域で行われる政令指定都市以外の市町村や東京都の特別区の選挙、または衆議院議員・参議院議員の補欠選挙に同時に立候補することが禁じられます。

この法律の中で「該当年の」と記される部分は、実際に成立した法律においては具体的な和暦（例えば令和5年など）が明記され、選挙期日についても具体的な年月日が明記されます。これにより、その回次の統一地方選挙の正確な日程が確定します。

歴史的経緯

統一地方選挙の期日を特別に定める法律は、第一回の統一地方選挙が実施された1947年（昭和22年）に「都道府県及び市区町村の議会の議員及び長の選挙の期日等に関する法律」として初めて制定されました。第二回の1951年（昭和26年）には「地方公共団体の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律」という名称で制定されました。そして、第三回の1955年（昭和30年）以降、「地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律」という同名の法律が、統一地方選挙が実施される度に制定されるようになりました。初期の法律には旧法の廃止規定が含まれていましたが、昭和41年以降は新たな法律の成立によって旧法の効力が失われると解釈され、廃止規定は明文化されなくなりました。

なお、2019年（平成31年/令和元年）に実施された第19回統一地方選挙に適用された法律は、「地方公共団体の議会の議員及び長の任期満了による選挙等の期日等の臨時特例に関する法律」という若干異なる名称で制定されました。この回次では、当時の天皇の退位が4月30日に予定されていたことを考慮し、選挙期日が通常よりも一週間前倒しされました。これは、1991年（平成3年）の第12回統一地方選挙でも見られた措置です。また、この法律により、本来は4月第4日曜日に行われる国政補欠選挙も特例的に統一地方選挙の後半戦と同じ4月21日に行われることが定められました。

被災地における選挙期日延期

この法律による統一地方選挙の期日特例とは別に、大規模な災害発生時などには、公職選挙法に定められた選挙期日を変更するための特別な法律が制定されることがあります。これは地方自治法における任期満了に関する規定の例外となり、選挙が実際に行われるまで議員や長の任期が延長される措置です。過去に制定された被災地における選挙期日延期に関する特別法は、いずれも統一地方選挙の直前に発生した大規模災害（阪神・淡路大震災、東日本大震災）を受けたものであり、統一地方選特例法のさらなる特別な措置として位置づけられました。

例えば、1995年（平成7年）の阪神・淡路大震災では、その年の統一地方選挙に関する特例法に加え、「阪神・淡路大震災に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律」が制定され、被災した兵庫県内の一部自治体の選挙期日が2ヶ月延期されました。また、2011年（平成23年）の東日本大震災の際にも、その年の統一地方選挙に関する特例法に加えて、「平成二十三年東北地方太平洋沖地震に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律」が制定され、被災地の自治体の選挙期日を最大で9月22日まで延期することが可能とされました。この法律は後に名称変更や対象拡大、再度の延期を可能とする改正が行われています。

任期ずれの解消に向けた措置

1995年の阪神・淡路大震災に伴う選挙期日延期措置などにより、一部の自治体では統一地方選挙の実施日と議員・長の任期満了日の間に約2ヶ月のずれが生じていました。この任期ずれを解消するため、2017年（平成29年）には「平成三十一年六月一日から同月十日までの間に任期が満了することとなる地方公共団体の議会の議員及び長の任期満了による選挙により選出される議会の議員及び長の任期の特例に関する法律」が制定されました。この法律は、対象となる自治体の議会で定められた要件（出席者および賛成者の多数）を満たした場合、2019年に行われる選挙で当選する議員や長の任期を特例として3年10ヶ月に短縮することを認め、次々回の選挙（2023年）以降で任期満了日と統一地方選挙の実施日を一致させることを目指したものです。この措置は、阪神・淡路大震災の影響を受けた兵庫県内の自治体など、複数の自治体の選挙に適用されました。

「地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律」とその関連法は、日本の地方選挙制度、特に統一地方選挙の円滑な実施を支える重要な役割を果たしています。

関連項目

公職選挙法
地方自治法
統一地方選挙
再選挙
繰り延べ投票

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