地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律

地方分権一括法：地方自治の新たな地平を開いた法律

1999年（平成11年）7月16日、地方分権の推進を図るため、地方自治法をはじめとする475もの法律の改正または廃止を定めた画期的な法律が公布されました。それが通称「地方分権一括法」と呼ばれる「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」（法令番号：平成11年法律第87号）です。

この法律は、それ自体に新しい制度を設けるものではなく、既存の様々な法律を改正・廃止することで、地方への権限移譲を進めることを目的としています。そのため、法律の条文は、各省庁所管の法律に関する改正事項が羅列された、いわば「改正法の集大成」と言える構造になっています。

地方分権一括法の構成

地方分権一括法は、14の章から構成されています。各章は、それぞれの省庁所管の法律の改正事項をまとめて記載しており、その数は実に475にも及びます。主な章は以下の通りです。

第一章：共通関係 （基本的な規定）
第二章～第十三章：各省庁関係 （それぞれの省庁所管の法律の改正事項を網羅）
総理府関係
法務省関係
外務省関係
大蔵省関係
文部省関係
厚生省関係
農林水産省関係
通商産業省関係
運輸省関係
郵政省関係
労働省関係
建設省関係
第十四章：自治省関係 （地方自治に関する法律の改正事項）

改正対象となった法律は、地方自治法をはじめ、国家行政組織法、古都保存法、動物愛護管理法など多岐に渡ります。これらの法律の改正により、地方公共団体への権限委譲、事務処理の簡素化などが図られました。

施行と影響

地方分権一括法による改正の多くは、2000年（平成12年）4月1日に施行されました。しかし、一部の法律については、施行時期が異なるものもあります。

この法律によって、地方公共団体の自主性と責任が強化され、地方分権が大きく進展しました。具体的には、地方公共団体が独自の政策を立案・実行できる範囲が広がり、住民参加の促進や地域社会の活性化にも繋がっています。

改正・廃止された主な法律

地方分権一括法によって改正または廃止された法律は非常に多いため、ここでは代表的なものをいくつか紹介します。

改正された法律:

地方自治法：地方分権の根幹をなす法律であり、この法律の改正が地方分権一括法の中心となっています。
国家行政組織法：国の行政組織に関する法律であり、地方への権限移譲に伴う組織改編などが行われました。
古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法：歴史的建造物の保存に関する法律で、地方自治体への権限強化が図られました。
動物の保護及び管理に関する法律：動物愛護に関する法律で、地方自治体の役割が明確化されました。
その他多数の法律（不当景品類及び不当表示防止法、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、古物営業法など）

廃止された法律:

農地被買収者等に対する給付金の支給に関する法律：時代の変化に伴い、廃止された法律の一例です。
その他

地方分権一括法の意義

地方分権一括法は、日本の地方分権改革における重要な転換点となりました。単なる法律の改正にとどまらず、地方公共団体の自立性を高め、住民のニーズに応じた地域社会づくりを促進する上で大きな役割を果たしています。この法律の制定以降、地方自治のあり方は大きく変化し、現在もその影響は続いています。今後も、地方分権の更なる推進に向けて、この法律の役割は重要であり続けるでしょう。

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