地方法人特別税

地方法人特別税について

地方法人特別税（ちほうほうじんとくべつぜい）は、日本の法人事業税の一部を国税として徴収し、地方財政の均衡を図るために設けられた特別税です。この税制度は、2008年10月から2019年9月までの間、国の税制改革の暫定措置として存在していました。

目的と背景

地方法人特別税は、法人事業税が都道府県ごとに大きく異なることから、地域間の財政力に差が生じることを防ぐ目的で導入されました。具体的には、国が法人税を通じて徴収した税金の一部を、人口や従業員数を基準に計算した上で、各都道府県へ再分配し、より公正な地方財政を実現することが狙いです。

制度の運用

この税は国税でありながら、都道府県が徴収を行う形態をとっています。通常の国税通則法や国税徴収法が適用されず、運用は地方税と同様に行われるため、地方法人特別税の取り扱いは法人事業税とほぼ変わりませんでした。これは、地方自治体にとって税収を安定させる手段となりました。

確定申告における扱い

法人税の計算において、地方法人特別税は損金として扱われています。法人税法の第38条に明示されていないため、法人税確定申告書の別表五（二）には、法人事業税と地方法人特別税の合算額を記入することが求められました。

税率とその変動

地方法人特別税の税額は、法人事業税に一定の税率をかけて算出されます。具体的には、基準法人所得割額または基準法人収入割額をもとに計算します。税率は導入当初の2008年度から段階的に変更され、2019年度から新たに特別法人事業税に移行していきます。

税収の変遷

地方法人特別税の税収は年度ごとに増減がありました。財務省の統計によると、2008年度はわずか7百万円でしたが、2010年度には約1,420億円にまで達しました。特に2013年度には2兆円を超え、2019年度には2,040億円となりました。これは、税制度の導入初期からの持続的な収入の増加を示しています。

他の関連税との違い

地方法人特別税は、混同されることがある「地方特別法人税」や「特別法人税」とは異なります。特別法人税は企業年金に関連する租税特別措置法に基づくもので、税制が凍結中です。また、復興特別税は東日本大震災後の復興を目的としたもので、地域施策とも関わりがあります。地方法人税は、地方法人特別税と同様に地方財政を改善する目的で設けられ、法人道府県民税の減税と法人税の上乗せという形で差別化されています。

結論

地方法人特別税は、日本の地方税制改革の一環として重要な役割を果たしましたが、2019年度を以て廃止され、その後は特別法人事業税が新たに設けられました。地方財政の安定を図るための取り組みは今後も続いていくでしょう。

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