地獄のさけび

キッスのセカンド・アルバム『地獄のさけび』（Hotter Than Hell）は、1974年10月22日にリリースされました。デビュー・アルバム『キッス・ファースト 地獄からの使者』に引き続き、ケニー・カーナーとリッチー・ワイズがプロデュースを担当。初期の3作は「音がスカスカしている」と評されることもありますが、本作は比較的重厚なサウンドに仕上がっており、当時のブリティッシュ・ハードロックからの影響が色濃く反映されています。

ジャケットのデザインはノーマン・シーフが手がけ、日本語が大胆に使用されている点が大きな話題を呼びました。表ジャケットには「キッス」「地獄のさけび」「力」という日本語の文字、そしてメンバー名の英語表記（縦書き）に加えて、「ジイン・シモンズ」「ポール・スタンリィ」「ピータ・クリース」「エイス・フューリ」というカタカナ表記が添えられています。裏ジャケットには収録曲名とアルバム制作に関する解説が英語と日本語で記載されており、日本市場への意識の高さがうかがえます。

アルバムの邦題は、キッス自身が日本のレコード会社に指定したものであり、以降、彼らのアルバムの邦題に「地獄」という言葉が頻繁に用いられるようになったきっかけとも言えます。1977年7月23日には、ゴールドディスクを獲得しています。

収録曲は以下の通りです。

1. ガット・トゥ・チューズ - "Got To Choose" (ポール・スタンレー)
リード・ボーカル：スタンレー
2. パラサイト - "Parasite" (エース・フレーリー)
リード・ボーカル：シモンズ
3. ゴーイン・ブラインド - "Goin' Blind" (ジーン・シモンズ、ステファン・コロネル)
リード・ボーカル：シモンズ
ステファン・コロネルは、シモンズとスタンレーがキッス結成前に在籍していたウィキッド・レスターのメンバーでした。
4. ホッター・ザン・ヘル - "Hotter Than Hell" (スタンレー)
リード・ボーカル：スタンレー
5. レット・ミー・ゴー・ロックン・ロール - "Let Me Go Rock 'N' Roll" (スタンレー、シモンズ)
リード・ボーカル：シモンズ
6. オール・ザ・ウェイ - "All The Way" (シモンズ)
リード・ボーカル：シモンズ
7. ウォッチン・ユー - "Watchin' You" (シモンズ)
リード・ボーカル：シモンズ
8. メインライン - "Mainline" (スタンレー)
リード・ボーカル：クリス
9. カミン・ホーム - "Comin' Home" (フレイリー、スタンレー)
リード・ボーカル：スタンレー
10. ストレンジ・ウェイズ - "Strange Ways" (フレイリー)
* リード・ボーカル：クリス

『地獄のさけび』は、キッスの初期の勢いと、彼らが持つ音楽的な多様性を感じることができる作品です。また、日本での人気を確立する上で重要な役割を果たしたアルバムと言えるでしょう。

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