地獄の黙示録

地獄の黙示録（Apocalypse Now）

『地獄の黙示録』は、1979年に公開されたアメリカの戦争映画で、監督はフランシス・フォード・コッポラです。本作は、ジョゼフ・コンラッドの小説『闇の奥』をベースに、物語の舞台を19世紀コンゴからベトナム戦争に移した叙事詩的な作品です。出演にはマーロン・ブランドやマーティン・シーンが名を連ねており、印象深いキャラクターたちが織りなすストーリーが魅力です。

この映画は、1979年度のカンヌ国際映画祭で最高賞であるパルム・ドールを受賞しました。また、アカデミー賞では、作品賞を含む8部門にノミネートされ、撮影賞と音響賞を受賞しています。その後も、ゴールデングローブ賞や全米映画批評家協会賞、英国アカデミー賞など、数々の賞を受賞しており、映画史に名を刻む作品となっています。

ストーリー

物語は1969年、ベトナム戦争の真っ只中です。アメリカ陸軍特殊部隊のカーツ大佐は、上司の指示を無視して独自の戦争を展開し、カンボジアに秘密の前哨基地を設けていました。彼は軍と地元の民兵を指揮し、半神的な存在として崇拝されていました。

ウィラード大尉は、南ベトナム軍事援助司令部からカーツを暗殺する任務を帯びて任務につきます。彼はCIAの暗殺任務に関する豊富な経験を持ちますが、戦場から離れていることで自問自答の日々を送っていました。ウィラードは河川哨戒艇に乗り込み、任務遂行のためヌング川を遡ります。

途中、彼は特異なキャラクターであるキルゴア中佐と出会います。彼は、南ベトナム解放民族戦線に対する激しい攻撃を指揮し、ヘリコプター部隊とともに敵を襲います。ウィラードは、任務を続ける中で無情な戦争の現実や同伴者たちの運命に直面します。

彼は旅を続け、仲間たちを失いながら、ついにカーツの基地に到着します。そこで彼は、カーツが半神として崇められ、異常な戦争によって彼自身も狂気の中にあることを知ります。対峙する中で、ウィラードはカーツとその哲学を理解し、最終的には彼を殺すかという選択を迫られます。

制作背景

本作は、1970年代初頭に計画が始まりました。当初の構想は、ジョージ・ルーカスとジョン・ミリアスによって進められましたが、実際に形になったのはコッポラの手によるものです。映画は、アメリカとベトナムの国交がない中でフィリピンで撮影が行われるなど、多くの困難がありました。特に、撮影中には自然災害やキャストの健康問題、さらにはコッポラ自身の精神的苦痛等が影響したと言われています。

公開後、映画は賛否が分かれましたが、多くの批評家はその映像やテーマに強い衝撃を受け、後にアメリカ映画史において重要な作品として評価されるようになりました。公開から数十年経った今でも、『地獄の黙示録』は多くの観客に愛され続け、その影響力は衰えていません。アメリカ映画ベスト100にもランクインしており、今後もその評価は高まることでしょう。

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