地理科学学会

地理科学学会（ちりかがくがっかい）

地理科学学会（英語名称：The Japanese Society for Geographical Sciences）は、地理学および地理教育に関する研究を推進し、その成果を広く普及させることを目的として活動している日本の学術団体です。1961年に設立され、以来、日本の地理学の発展に寄与してきました。学会の事務局は、広島大学大学院文学研究科の地理学教室に置かれています。地理関連学会連合および日本地球惑星科学連合にも加盟しており、国内外の関連学術団体との連携も図っています。

学会は多様な会員によって構成されています。一般会員は学会の刊行物を受け取り、主催するすべての事業に参加できます。法人・団体または特定の個人は賛助会員として学会の活動を支援します。長年にわたり学会の発展に顕著な功績のあった一般会員は、名誉会員選挙委員会の推薦と総会の承認を経て、名誉会員に推戴されます。

学会の運営は、専門分野の異なる役員によって担われています。会長は学会の代表として、全会務を統括します。評議員は学会の発展に関する重要な助言を行い、会計監査は学会の財務状況を監査し、総会に報告する責任を負います。合同委員会委員長は合同委員会を招集し、会務の円滑な遂行を調整します。また、庶務、編集、会計、集会といった各部門にはそれぞれ専門委員長が置かれ、担当分野の会務を主導します。これらの専門委員長を補助するために、若干名の専門委員も配置されています。

主な活動として、学術的な情報発信の要である学会誌『地理科学』を刊行しています。この学会誌は1961年の創刊当初は年に1号、その後年に2号と刊行頻度を変更し、第37巻（1982年）からは巻号形式となり年に3回の発行となりました。第43巻（1988年）以降は年に4回発行される季刊誌となり、特に1984年から始まった秋季大会でのシンポジウムの報告要旨の掲載が増えたことが、刊行頻度増加の一因とされています。『地理科学』に掲載される論文には特徴があり、創刊から第49巻（1994年）までの投稿論文を分析した森川洋氏によれば、地形学、都市地理学、農業地理学、歴史地理学といった分野に加えて、地理教育に関する論文が多いことが日本の他の地理学雑誌と比較した際の特色として挙げられています。また、国外の地域研究では、事務局が置かれている広島大学における南アジア研究の伝統を反映し、南アジアに関する論文が比較的多く見られる傾向にあります。

学術大会も重要な活動の一つです。年に2回、春季大会と秋季大会を開催しています。春季大会では一般研究発表が行われ、幅広い分野の研究成果が報告されます。秋季大会では特定のテーマに基づいたシンポジウムが開催され、集中的な議論が行われます。これらの大会に加えて、不定期ではありますが、会員間の交流や特定のテーマに関する情報交換を目的とした例会や、著名な研究者を招いた講演会も開催しています。

さらに、会員が学会の目的と合致するテーマで研究を進めるためのワーキンググループ活動を支援しています。会員は自由にワーキンググループを結成し、参加することができ、学会から活動費の一部補助を受けることができます。過去には地理教育ESD研究グループや観光地理学研究グループといったワーキンググループが活動を行っていました。

このように、地理科学学会は学会誌の発行、学術大会の開催、ワーキンググループの支援などを通じて、地理学および地理教育の研究成果の発信と普及に努め、日本の地理学の発展に貢献しています。

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