地福寺 (五條市)

地福寺（じふくじ）の概要

地福寺は奈良県五條市久留野町に位置する高野山真言宗の寺院であり、山号は牛滝山と称されています。この寺は、かつて「金剛山行者坊」として知られていました。その歴史はやや不明瞭な部分が多く、特にその由緒については記録が残されていません。

歴史の変遷

地福寺の歴史は、明治4年（1871年）に起きた出来事と深く関わっています。この年、神仏分離によって廃寺となった金剛山転法輪寺から法起菩薩が移されたことが、地福寺の重要な出来事の一つです。しかし、当時の法起菩薩は傷みが目立つ状態だったため、焼却処分されてしまいました。その後、明治9年（1876年）に新しい法起菩薩像が制作され、現在に至ります。

この法起菩薩像は室町時代に作られたものであり、金剛山行者坊が本尊として使用していた役行者像や不動明王像、大威徳明王像も現在、地福寺に残っています。また、役行者が天ヶ滝で降雨を祈願して得たという寺宝の壺も、伝承が残る貴重な品です。

蓮華祭り

地福寺は、明治5年（1872年）に、金剛山転法輪寺から受け継いだ蓮華祭りを行うようになりました。この祭りは役行者の命日である旧暦6月7日をその日としていましたが、現在は新暦の7月7日に行われています。蓮華祭りは地域の人々にとっても重要な行事として、今もなお受け継がれており、多くの参拝者で賑わいます。

境内の見どころ

地福寺の境内には、いくつかの神々が祀られています。狩場明神、白髪明神、白玉明神がその名で呼ばれる神々で、地域の信仰を集めています。また、牛供養碑もあり、地域の人々が牛を大切に思う心を表している場面が見受けられます。これらの神々や碑は、地元の人々との深い関係を示しており、訪れる人々にとって興味深いスポットとなっています。

参考文献と外部リンク

地福寺の詳細な歴史や文化について更に学ぶための資料として、平凡社の『日本歴史地名大系 第30巻 奈良県の地名』があります。また、五條市の広報誌や観光協会のウェブサイトでは、地福寺に関する最新情報やイベント情報を得ることができます。この寺院は歴史的にも文化的にも地域に根付いた存在であり、訪れる価値のあるスポットです。

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