地蔵川 (名古屋市)

地蔵川の概要と歴史

地蔵川（じぞうがわ）は、愛知県名古屋市天白区を流れる天白川水系に属する普通河川です。名古屋市内にはかつて、地蔵川と同名の別の河川（大幸川の支川）が存在しましたが、現在は消滅しています。地蔵川は、名古屋市天白区島田に起源を持ち、新池を経て天白川に注ぎます。その全長は762メートルで、流域面積は約1.41平方キロメートルにわたります。特に新池より下流部は全区間が暗渠となっており、その形状が現代に大きな影響を与えています。

名称の由来

「地蔵川」という名は、下流域に位置する地蔵寺（島田地蔵寺）から取られています。江戸前期には島田川と呼ばれていましたが、時が経つにつれて地蔵川が一般的な名称として広まりました。この歴史的な経緯から、地蔵川は地域的な特性を持った河川として重要視されています。

地域の関連地名

天白区島田にある「曲尺手」という小字の名は、天白川と地蔵川の合流点が独特な形状をしていたことに由来しています。地域名に込められた意味を理解することで、さらに深い知識を得ることができます。

災害と治水

江戸時代には、地蔵川の下流に南北の堤防が築かれ、長さ約120メートルに及びました。この堤防を通して治水対策が行われ、地域の安全が確保されていました。しかし、明治時代に上流部の樹木が伐採された結果、土砂流出が増加し、地蔵川流域も大きな被害を受けることとなりました。また、明治維新後、堤防やため池の修繕が滞ったため、被害が拡大したとも言われています。その後、大正時代に入ると、愛知県は多額の費用をかけて堰堤の修繕を行いました。

2000年に発生した東海豪雨時には、新池が溢れ、周辺地域が浸水する事態が発生しました。これにより、地蔵川に関しては詳細な行政調査が求められましたが、情報不足により却下された経緯があります。

堤防の構造

江戸時代に築かれた地蔵川の堤防は、南堤64間（約116メートル）、北堤70間（約127メートル）でした。桜並木が植えられており、南堤の上には伊保街道が通じていましたが、戦後の土地区画整理事業により、この堤防も消滅してしまいました。

ため池の存在

地蔵川の周辺には、いくつかのため池が設けられており、特に注目されるのは新池と西之杁池です。新池は農業用のため池として利用され、現在は雨水調整池として機能しています。洪水調節能力は19,000立方メートルで、面積は1.2ヘクタールです。一方、西之杁池は名の通り新池の上流に設けられており、農業用のため池でしたが、現在は埋め立てられています。

橋梁の歴史

区画整理以前は、地蔵川にいくつかの橋が架けられていましたが、現在ではほとんどの橋が姿を消しています。いくつかの橋梁の中には、勝松花壇にちなんで名づけられた花壇橋も存在します。この橋は1961年に竣工し、地域の利用者に重要な役割を果たしていました。

まとめ

地蔵川はその歴史と地域社会における重要性から、名古屋市における河川の一つとして位置づけられています。地蔵川を通じて理解する地域の歴史、治水活動、そして自然との共生の形は、私たちにとって貴重な学びとなるでしょう。

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