坂口綱男

坂口綱男（さかぐち つなお）は、1953年8月6日に群馬県桐生市で生まれた日本のカメラマンであり、日本写真家協会の会員です。彼の人生は、無頼派作家として知られる父、坂口安吾と母、三千代の長男として始まりました。

フリーランスのカメラマンとして、坂口綱男はコマーシャルフォト、ポートレート、雑誌の写真など、多岐にわたる分野でその才能を発揮してきました。その活動は、単に写真を撮るだけでなく、写真に関する執筆や講演にも及びます。また、母・三千代の没後には、父・安吾に関する講演や執筆活動にも力を入れています。

坂口家の系譜を辿ると、祖父は政治家で漢詩人でもあった仁一郎、祖母は新潟出身のアサです。伯父には実業家の献吉がおり、父は小説家の坂口安吾、母は随筆家の三千代という家族構成です。この家族の歴史と背景は、坂口綱男の作品や活動に深く影響を与えていると言えるでしょう。

坂口綱男の著書には、写真家としての視点を捉えたものから、父・安吾との関係を深く掘り下げたものまで、幅広いテーマを扱った作品があります。

主な著書として、以下が挙げられます。

『現代俳人の肖像』（春陽堂書店、1993年）
『Le temps arrêté 静止した時間』（春陽堂書店、1995年）
『安吾と三千代と四十の豚児と』（集英社、1999年）
『安吾のいる風景』（春陽堂書店、2006年）

これらの著書は、坂口綱男の写真家としての感性だけでなく、家族、特に父・安吾との関係を考察する上で貴重な資料となっています。

また、坂口綱男は、新潟日報に「安吾のいる風景」を連載するなど、地域に根差した活動も展開しています。

彼の活動は、単にカメラマンとしての領域に留まらず、父・安吾の文学的な遺産を次世代に伝える役割も担っていると言えるでしょう。彼の写真や著書は、坂口安吾の人物像や時代背景を理解する上で、重要な手がかりとなります。

さらに、坂口綱男は、自身のホームページや坂口安吾デジタルミュージアムを通じて、その活動や作品を広く公開しています。また、ローライコードのカメラ回想録を公開するなど、カメラ愛好家にとっても興味深い情報を提供しています。

坂口綱男は、写真家としての才能だけでなく、父・安吾の息子としての視点、そして文化的な活動を通じて、多角的な貢献を続けています。彼の作品と活動は、文学、写真、家族という多岐にわたるテーマを結びつけ、私たちに新たな視点を与えてくれるでしょう。

参考文献として、自身の著書である『安吾と三千代と四十の豚児と』と『安吾のいる風景』が挙げられます。これらの書籍は、坂口綱男の視点を通して、坂口安吾とその家族の歴史を深く知るための貴重な資料となっています。

彼のウェブサイトやデジタルミュージアムでは、写真作品や関連情報を確認できます。また、カメラ回想録では、彼が愛用するカメラへの深い愛情を感じることができます。

もう一度検索