坂口謹一郎

坂口 謹一郎 - 日本の発酵研究の権威

坂口謹一郎（さかぐち きんいちろう、1897年11月17日 - 1994年12月9日）は、日本の著名な農芸化学者であり、特に発酵や醸造に関する研究で国際的な評価を得ていました。彼は「酒の博士」として広く知られ、東京大学応用微生物研究所の初代所長や名誉教授、理化学研究所の副理事長を歴任しました。さらに、日本学士院の会員としても活躍しました。愛称は「坂謹（さかきん）」です。

来歴

坂口は新潟県高田（現在の上越市）に生まれました。彼は新潟県立高田中学校を中退し、神田の順天中学校に編入。その後、東京帝国大学農学部に進学し、1940年には教授に就任しました。1958年に定年退官した後も理化学研究所で副理事長を務め、以来、多くの研究所で指導にあたりました。特に、1966年には昭和天皇に「醗酵学の進歩」について講演を行い、貴重な経験を得ました。彼は「坂口フラスコ」と呼ばれる微生物の培養に用いる装置を発明したことでも知られています。

坂口は酒に対する情熱を持っていましたが、1917年に禁酒を経験します。しかし、40歳頃に台湾の酒造場を訪れた際に、再び酒を飲むこととなり、その後は飲酒と向き合うことになります。このように、彼の人生は酒と切り離せないものとなりました。1940年には東京上野のビアホールにおいて、泡の過剰な販売に関する事件に関与し、最終的には無罪判決を勝ち取りました。彼は常にお酒を楽しむことと自律を大切にし、飲酒後は早出勤を心がけていました。

人物像

坂口の宗教は仏教で、趣味は読書でした。また、彼の家族背景や親族についても多くの研究が行われています。父は正利、妻は新潟出身のかうさんで、息子の健二も農芸化学者です。坂口は学界で数々の賞を受賞しており、文化勲章（1967年）や勲一等瑞宝章（1974年）などの栄誉を得ました。

主な著作

坂口は多くの著作を残しています。特に「世界の酒」や「日本の酒」など、酒に関連する書籍は人気を博しました。彼の研究成果や知見は、今もなお酒に対する理解を深めるための貴重な資料となっています。彼の業績は、坂口記念館として上越市に記念されており、彼の生涯と仕事を振り返る場となっています。

坂口謹一郎の業績は、日本における発酵研究の礎を築き、後の研究者たちに多大な影響を与えました。彼の研究は、今後の日本の農芸化学や醸造学においても継続的に評価されることでしょう。

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