坂岡真

坂岡 真

坂岡 真（さかおか しん）は、1961年に新潟県で生まれた日本の作家です。早稲田大学を卒業後、不動産開発会社に11年間勤務するという異色の経歴を経て、作家活動を開始しました。

作風と特徴

坂岡真の作品は、江戸時代を舞台にした時代小説が中心です。特に、その最大の魅力として挙げられるのが、綿密な時代考証に基づいたリアリティのある描写です。当時の風俗、制度、人々の暮らしぶりなどが詳細に描かれ、読者を物語の世界へ深く引き込みます。骨太なストーリー展開と、個性豊かな登場人物たちが織りなす人間ドラマが多くの読者を惹きつけています。

主な作品

彼の代表作として最もよく知られているのが、『鬼役』シリーズです。このシリーズは、幕府の「鬼役」という隠密裏の役目を担う人物の活躍を描いたもので、学研から刊行された後、光文社文庫から新装版として再刊され、巻数を重ねています。また、その前日譚を描いた『鬼役伝』シリーズも発表されており、初代鬼役候補である伊吹求馬（もとめ）を主人公に、厳しい修行や様々な事件、そして隠された敵との戦いが描かれています。これらの「鬼役」関連シリーズは、坂岡作品の根幹をなすものと言えます。

他にも、多くの人気シリーズを世に送り出しています。

『照れ降れ長屋風聞帖』シリーズ（双葉文庫）
『ひなげし雨竜剣』シリーズ（光文社文庫）
『帳尻屋始末』『帳尻屋仕置』シリーズ（双葉文庫）
『死ぬがよく候』シリーズ（徳間文庫）
『うぽっぽ同心十手綴り』シリーズ（徳間文庫）
『影聞き浮世雲』シリーズ（徳間文庫）
『のうらく侍』シリーズ（祥伝社文庫）
『あっぱれ毬谷慎十郎』シリーズ（角川文庫のち角川春樹事務所）
* 『ぐずろ兵衛うにゃ桜』シリーズ（幻冬舎文庫）

これらのシリーズ以外にも、単発の作品や短編集など、多数の著作があります。人情ものから剣戟ものまで、幅広いテーマで読者を楽しませています。

受賞歴・別名

2022年には、長年にわたる時代小説への貢献と、特に「鬼役」「鬼役伝」「はぐれ又兵衛例繰控」の各シリーズが高い評価を受け、第11回日本歴史時代作家協会賞のシリーズ賞を受賞しました。また、矢矧 零士（やはぎ れいじ）という別名義でも活動しています。

その他

代表作である『鬼役』シリーズは、橋本弧蔵氏によって漫画化もされており、こちらも人気を博しています。

坂岡真は、堅実な時代考証とエンターテインメント性を兼ね備えた作品を通じて、時代小説の魅力を伝え続けている作家です。

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