坂本涼子

坂本 涼子

坂本 涼子（さかもと りょうこ、1970年4月24日 - ）は、日本の元女子レスリング選手。兵庫県出身。中京女子大学（現 至学館大学）卒業。1992年の女子世界選手権57kg級で金メダルを獲得するなど、日本の女子レスリング黎明期から国際舞台で活躍した。

競技キャリアの始まりと国内での連覇

坂本氏は吹田市民教室にてレスリングキャリアを開始した。女子レスリングがまだ発展途上にあった1987年、記念すべき第1回全日本女子選手権および第1回全日本女子オープントーナメントに出場し、いずれも優勝を飾る。その後、1990年までこれらの国内主要大会において連覇を続ける圧倒的な強さを見せた。特に1990年の全日本女子選手権では、当時全日本女子プロレスの新人であった長嶋美智子選手からフォール勝ちを収めている。

大学進学と国際大会での経験

1990年に中京女子大学に入学し、同校のレスリング部に所属した。大学時代も全日本女子選手権での優勝を継続する一方で、国際大会にも積極的に挑戦した。世界選手権には早い段階から出場し、1989年には銀メダル、翌1990年には銅メダルを獲得するなど、世界のトップ選手としての地位を確立していく。

怪我からの復帰と世界制覇

順調にキャリアを重ねていた坂本氏だが、1991年の全日本女子選手権で優勝を果たした後、膝に重傷を負い手術を受けることとなった。選手生命も危ぶまれたが、懸命なリハビリを経て1992年に競技への復帰を果たす。復帰戦となった全日本女子選手権では、当時65kg級の世界チャンピオンであり、後にプロレスラーへ転身する飯島晶子氏（現姓・成国）からフォールを奪って優勝し、完全復活を印象づけた。そして同年、長年の目標であった世界選手権での優勝を遂げ、57kg級の頂点に立った。

社会人としての活動と一度目の引退

1993年、京樽に入社し、社会人選手として競技を続行した。同年の全日本女子選手権では、決勝で京樽のチームメイトであり、後に総合格闘技へ転身することになる福原邦子氏を破り、再び優勝を果たした。この間、1988年ソウルオリンピックの代表選手であり、京樽のコーチを務めていた栄和人氏と結婚。娘の希和氏を出産したが、その後離婚している。

指導者への道、そして競技への再挑戦

結婚・出産を経て、一度は競技から離れる形となったが、1995年には階級を53kg級に下げて競技に復帰した。復帰後もトップレベルの実力を維持し、1996年にはアジア選手権で優勝、同年の世界選手権でも銅メダルを獲得した。この頃、所属していた京樽を退職。1996年から2002年にかけて、母校である中京女子大学（後に至学館大学へ改称）健康科学部の講師として、次世代の指導者として活動を開始する。しかし、かつて世界選手権で二度の敗北を喫したノルウェーの宿敵、グドルン・ホイエ氏の現役復帰に触発され、再び競技への情熱を取り戻す。1999年のジャパンクイーンズカップにて三度目の競技復帰を果たすが、準決勝で三田寺由香選手に敗退。この試合を最後に、二度目の現役引退を迎えることとなった。

その後

現役引退後は指導者としての活動を継続し、後進の育成に尽力した。2008年に東京で開催された世界選手権においては、過去の世界選手権優勝者の一人として特別表彰の対象となったが、授賞式への出席は見送っている。坂本涼子氏は、日本の女子レスリング黎明期から世界レベルで活躍し、その普及と発展に大きく貢献した功労者の一人として、その名を刻んでいる。

もう一度検索