坑道

坑道（こうどう）についての概要

坑道とは、地面の下に作られた通路のことを指し、主として鉱山において資源を掘り出すための手段として利用されます。これらの通路は、鉱床に沿って掘削され、特に金のように価値の高い資源の場合、地下3000メートルを超える深さまで掘り進められることもあります。例えば、南アフリカのタウトナ鉱山ではそのようなリソースの掘削が行われています。また日本においては、坑道は間府（まぶ）、間分、あるいは間歩とも呼ばれています。

坑道の歴史

人類は、鉱石や宝石が地表に露出することが少ない場合、坑道を掘ることによって地下の資源を収集してきました。日本では、徳島県の若杉山遺跡で、弥生時代に辰砂を採掘していた可能性がある坑道が発見されています。このように、坑道は古くから資源の採掘に寄与してきました。

坑道の危険性

坑道内部は、落盤や陥没事故などの危険が伴います。これを防ぐために坑木で支保されているものの、高湿度環境下では腐朽が進むため、定期的なメンテナンスが必要です。しかし、坑道が廃鉱となると、坑口をふさぐ程度の措置が取られるだけで、内部の管理は行われなくなります。観光地として保全される場合もありますが、大多数の廃坑ではそのような措置は取られていません。

このため、長い年月が経過することで埋戻しがされていない坑道が崩落し、地表面が広範囲にわたって陥没する事例がしばしば発生しています。特に、排水設備が不十分な鉱山では、坑道内の水が圧力によって噴出し、周囲の道路や建物に浸水することがあります。日本では、閉山した鉱山については坑口の封鎖が義務付けられています。経済産業省は、地域ごとに鉱山保安監督事務所を設置して、これらの坑道の安全を監視していますが、2005年からは規制を見直し、民間の自主性を重視した形で保安確保を図っています。

廃坑における危険性

採掘が終了した鉱山の坑道には、鉱物を採集するために侵入するマニアや廃墟ファンが存在します。しかし、坑道内部には使用されていないエレベーターや配管の跡などが多く、落とし穴のような危険が潜んでいます。また、内部は複雑に分岐しているため、容易に迷子になることがあります。この他にも、可燃性ガスや有毒ガスの発生、貧酸素状態、さらには崩落や浸水といったリスクが存在します。

軍事における坑道の役割

坑道は軍事上でも利用されることがあります。敵の陣地や城を攻撃するために地下にトンネルを掘ることを「坑道戦」と呼びます。また、核実験場などの地下軍事施設への人員や物資の搬出入にも、坑道が使用されます。このように、坑道は採掘だけでなく、軍事戦略においても重要な役割を果たしています。

関連項目

• - 坑道戦：敵陣の直下に坑道を掘り込み、爆破する戦術。
• - カナート：地下水路の一種で、特に日本では「マンボ」とも呼ばれています。

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