坪内稔典

坪内稔典について

坪内稔典（つぼうち としのり、生年1944年4月22日）は、日本の著名な俳人かつ国文学者であり、俳号は「ねんてん」として知られています。彼は京都教育大学の名誉教授であり、また「船団の会」の初代代表も努めました。その専門分野は日本近代文学であり、特に正岡子規に関する研究や著作が多数存在します。

俳句のスタイル

坪内は、軽快で遊び心にあふれた句作を行い、特に口誦性を重視したスタイルが特徴的です。彼の俳句はリズム感に優れ、覚えやすく口にしやすいものが多く、時には「コマーシャル俳句」と呼ばれることもあります。口誦性とは、誰でも簡単に覚えてすぐに口に出せる特性を指します。また、片言性と呼ばれる短くて簡潔な表現によって、多面的な解釈を誘うことができる点にも注目しています。これにより、言葉の奥深さや楽しさを引き出す俳句を生み出しています。

彼の句には、例えば「桜散るあなたも河馬になりなさい」といったユニークで愛着のある表現があり、特に河馬を愛する彼の個性が反映されています。

経歴と学問

愛媛県西宇和郡町見村九町に生まれた坪内は、愛媛県立川之石高等学校を経て、立命館大学文学部日本文学科を卒業しました。さらに、大学院で修士課程を修了し、講師としてキャリアをスタート。園田学園女子大学助教授を経て、京都教育大学教授に就任しました。

高校時代から句作に意欲的であり、担任教師の勧めで「青玄」へ投句を行い、伊丹三樹彦に師事しました。大学時代には近代文学、特に詩歌を専攻し、仲間と共に学生俳句連盟を結成しました。

俳句の普及にも熱心で、1976年に「現代俳句」誌を創刊し、1985年まで20号を発行。その後、1985年に会員制俳誌「船団」を創刊し、同誌の代表として長年活動しました。

受賞歴

坪内はその功績により、多数の受賞を果たしています。1986年に尼崎市市民芸術賞奨励賞、2000年には京都府文化賞功労賞、2001年には第9句集『月光の音』で第7回中新田俳句大賞スウェーデン賞を受賞。さらに、京都市文化功労者やナメコロジー大賞なども受賞し、俳句界における地位を確立しています。

俳句界への貢献

坪内は、俳句の普及活動だけでなく、教育現場でもその影響を与えています。柿衛文庫や俳句インターハイなど様々な役割を担い、俳句や文学教育の現場において重要な存在として活躍しています。また、8月19日を「俳句の日」と名付けたことでも知られています。これにより、俳句がより多くの人々に親しまれることを願っています。

著書

坪内稔典の著作には、句集や評論書が多数あり、彼の俳句世界を広げるための重要な資料となっています。代表的な句集には『落花落日』や『猫の木』、評論には『俳句のユーモア』などがあります。彼の作品は日本の俳句文芸において高く評価され、現在まで多くの人々に愛され続けています。

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