垂れ流し

垂れ流し（たれながし）

「垂れ流し」とは、他者から受け取ったり内部で生成したさまざまなものを、一切の処理や保存を行わずにそのまま放出し続ける状況を指します。特に環境や衛生上好ましくない成分を含む液体にたいして使われることが多いですが、比喩的にさまざまな文脈でも使用されます。

主な事例

排水・下水関連

ここ数十年の間、工業廃液の処理が不十分なまま河川や海に放流される事例が多く見受けられました。その結果、水俣病のような深刻な公害が全国各地で発生しました。特に下水道が普及する前は、家庭から排出される生活排水もほとんど処理されずに直接河川へ流れていたため、さまざまな水系の富栄養化が進展しました。

鉄道のトイレ

鉄道車両に設置されているトイレの一部では、汚物を水で流した後、そのまま汚水を管を通じて地面や線路上に放出する方式が導入されていました。この方式の使用は、鉄道沿線地域に「黄害」を引き起こす原因となりましたが、現在の日本では、床下に汚物処理装置を設置して、車両基地で汚水を処理する方法が主流となっています。

傷病者・泥酔者

重度の知的障害や認知症を持つ患者、または麻痺がある方々は、排便や排尿を自分でコントロールすることが難しい場合があります。また、乳児も排泄を適切に行えず、少しの量でも失禁することがあります。大量のアルコールを摂取した泥酔者も同様の状態に陥ることがあり、これには適切な介護や処置が求められます。

放送関連

ローカル局が、キー局からの番組を一切手を加えずにそのまま放送するケースが増えています。この場合、ローカル局は単なる中継局のようになり、各地域において既に放送された内容をそのまま流すことが一般的です。例えば、TBSの『王様のブランチ』で流れる天気予報が四国や東北でもそのまま放送されることや、日本テレビ系列の情報番組が各地で同様に流されるなどの事例があります。時には、CMもキー局に基づいてそのまま放送されることがあり、特定地域にしか存在しない企業の広告が他地域で放送されることも見受けられます。

その他の事例

放送終了後に、テストパターンやフィラーを流さずに信号だけを送り続ける「垂れ流し」状態も、災害時の即時放送再開のために行われるケースがあります。このような手法は、遠距離受信の障害になることもあるため、注意が必要です。また、インターネットラジオの分野でも、何の加工もせずに音楽や番組をそのまま流す「垂れ流し」が存在しますが、これは著作権の問題を抱えることもあります。

これらの事例からも見て取れるように、「垂れ流し」という状態は、情報や物質が不適切に処理され続けることを象徴する概念です。

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