垂直飛行機

垂直飛行機（ヘリコプターの先駆け）

垂直飛行機は、日本の発明家大西唯次によって考案された、世界初のヘリコプターの一種です。この飛行機は、大西式ヘリコプターやヘリコプレーンとも呼ばれ、彼の創意工夫によって開発されました。

発明の背景

1923年の冬、大西は垂直に離陸できる航空機の研究に取り組み始めました。高砂町にある自宅で、彼はゴム動力で駆動する模型を作成し、実験を重ねていきました。そして1928年には、友人の家でエンジンや動力伝動機構を搭載した模型機の飛行に成功します。この「垂直飛行機」は、後のチップジェット技術に近い構造を持っており、4枚のローターのうち2枚の先端前縁に小型のプロペラを配置することで、カウンタートルクの問題を解決しました。

特許と実用化への道

大西は、自身の発明に基づき1929年に特許を出願しました。特許番号85760号や141481号など、いくつかの特許を取得し、1930年には「大西飛行機研究所」を設立。その年の9月には、「大観艦式記念神戸海港博覧会」に出展し、実機の1/5スケールの模型が紹介されました。

しかし、大西は航空本部などに研究開発を打診しましたが、実用性やコストの面での懸念から、具体的な実用化には至りませんでした。特に、山本五十六少将との交渉が進む中で、満州事変の影響からプロジェクトは中止に追い込まれました。

戦後の再出発

戦後、大西は連合国による飛行禁止令が解除された後の1952年に、再びヘリコプターの制作を開始しました。同年9月には、エンジン付きの模型機による実験飛行を行い、戦前の作品に改良を加えた新しいモデルを披露しました。このモデルは2016年にも高砂地区のコミュニティセンターで展示されました。

1953年には新たにヘリコプターの特許を申請しましたが、戦後特許措置法による手続きの遅延により、他国で先に同様の特許が認定されてしまいます。

特許と評価

大西の発明に関する特許は、戦前に数多く取得されましたが、終戦時にこれらは無効となりました。また、イギリスからの特許譲渡の申し出もありましたが、大西はその申し出を断りました。

結論

垂直飛行機は、日本における航空機開発の重要な一歩として、大西唯次の独創的な努力を象徴しています。彼の業績は航空業界において特筆すべきものであり、今日のヘリコプター技術の礎を築くものとなりました。

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