埋甕

埋甕（うめがめ）とは

埋甕とは、縄文時代に深鉢形の土器を土中に埋納する風習を指します。この風習は、住居の内部と外部という異なる場所で行われ、それぞれ異なる意味合いを持っていたと考えられています。

住居内埋甕

住居内埋甕は、住居の出入口付近に営まれることが多く見られます。この埋甕には、子どもの胎盤を納めていたという説が有力です。当時の人々は、胎盤を埋めた場所を人が頻繁に踏んだり跨いだりすることで、子どもが丈夫に育つと信じていたようです。この風習は、縄文中期の中頃に中部地方から西関東地方にかけて出現し、その後周辺地域にも広がったと考えられています。

かつては、住居内埋甕に死産児を入れ、その再生を願ったとする説もありましたが、乳幼児の骨が発見された例はほとんどありません。その後の研究で、埋甕内の土壌から胎盤に由来する高等哺乳動物の脂肪酸が検出されたことから、胎盤収納説が支持されるようになりました。

住居外埋甕

一方、住居外埋甕からは、乳幼児を含む人骨が出土する事例があります。このことから、住居外埋甕は墓として用いられていたとする説が有力です。住居内埋甕とは異なり、死者を弔うための場所として機能していたと考えられています。

埋甕に用いられる土器

埋甕に使用される土器は、日常的に煮炊きに使われていた深鉢形土器です。ただし、そのまま使用するのではなく、底に穴を開けるなどして、土器としての機能を停止させてから埋納します。埋める方法としては、土器を正位（口を上にした状態）で埋めるのが一般的ですが、逆位（口を下にした状態）や斜位で埋める場合も見られます。

まとめ

埋甕は、縄文時代の生活や信仰を理解する上で重要な手がかりとなります。住居内埋甕と住居外埋甕という二つの異なる形態から、当時の人々の生命観や死生観を読み解くことができるでしょう。埋甕の風習は、縄文人の精神世界の一端を示す貴重な文化遺産であると言えます。

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