埋蔵文化財センター (横浜市)

横浜市埋蔵文化財センター

横浜市埋蔵文化財センター（まいぞうぶんかざいセンター）は、公益財団法人横浜市ふるさと歴史財団に属する重要な組織で、主に遺跡や埋蔵文化財の発掘調査を行っています。正式名称は長いですが、職員の間では「まいぶんセンター」として親しまれています。

設立の背景

1965年、港北ニュータウン開発事業が発表され、約30万人の居住者を見込んだ大規模な騒動が神奈川県横浜市で始まりました。この開発プロジェクトが進む中、268か所の遺跡が開発区域内に存在することが判明し、これらの遺跡が破壊される危機に直面しました。そこで、1969年には「横浜市埋蔵文化財調査委員会」が設立され、港北ニュータウン埋蔵文化財調査団が設立され、1970年から発掘調査が開始されました。

約20年にわたる調査の結果、膨大な資料が収集され、発掘した遺物は約2万箱にも及びますが、その多くは整理されずに残されていました。こうした状況を受け、1989年に横浜市埋蔵文化財センターが設立され、その後1992年に公益財団法人横浜市ふるさと歴史財団に統合され、「公益財団法人横浜市ふるさと歴史財団埋蔵文化財センター」となりました。

業務内容

埋蔵文化財センターは、遺物や遺構の整理・分析を行い、その成果を報告・公開しています。現在は、道路や学校建設など公共事業に伴う発掘調査も実施しており、地域の埋蔵文化財の保護を進めています。また、一般向けの広報紙『埋文よこはま』を刊行し、考古学に関する情報を広く提供しています。発掘調査の際には、出土品展示室で整理されている遺物の一部を一般公開することも行われています。これにより市民への普及啓発を図ることができます。

また、遺跡見学会や展示会の開催、講師の派遣など多岐にわたる活動を行い、地域の文化遺産を守る仕組みを提供しています。これにより、地域住民も自らの文化遺産に対する理解を深めることができ、次世代へと文化を継承する役割を果たしています。

出版物と広報活動

専門的な調査結果をまとめた『埋文よこはま』は、一般市民向けに遺跡や発掘調査に関する情報を提供しており、無料で入手可能です。過去の号はPDF形式でダウンロードできるため、興味のある方は誰でもアクセス可能です。このような取り組みは、考古学を身近に感じてもらうための重要な手段となっています。

結論

横浜市埋蔵文化財センターの多様な活動は、地域の歴史と文化を守るために欠かせない存在であり、発掘から整理、さらには一般への情報提供に至るまで、様々な分野で活躍しています。国や地域の遺産を次世代に伝えるため、専門的な知識を持つ職員たちが日々、懸命に作業をしています。

もう一度検索