城市郎

城市郎の生涯と業績

城市郎（じょう いちろう）は、1922年に仙台で誕生し、2016年にこの世を去った日本の著名な発禁本の蒐集家および研究者です。彼は生涯を通じて、発禁書の研究と収集に情熱を注ぎ、その成果として多数の著作を世に送り出しました。

幼少期から戦後にかけての経歴

城市郎は1937年に読売新聞社に入社し、正力松太郎の秘書として働くことになります。1943年には兵役に召集され、南方での敗戦を経験。1946年に復員した後は、一般の会社勤めをしながら古書の蒐集を始めました。その過程で、1956年に書痴・斎藤昌三に出会い、発禁本の収集と保存を勧められ、本格的に発禁本のコレクションに取り組むようになりました。

発禁本の収集と著作活動

発禁本の収集は、好色本や左翼思想書など多岐にわたり、彼のコレクションはやがて1万点を超える規模となりました。1965年には、自身の著書『発禁本』を刊行し、以降も発禁本に関連する著作を次々と発表しました。著書の一部には、発禁本に関する具体的な記述や考察が含まれており、その内容は研究者や愛好者にとって重要な資料として位置づけられています。

彼の著書には、1966年に発表された『禁じられた本 現代“発禁本”のすべて』や、1967年に出版された『禁じられた珍本 未公開“発禁本”秘話』などがあり、発禁本に関する深い知見が伺えます。特に『発禁本 書物の周辺』は、その後の発禁本研究の基礎となる重要な著作です。著書のスタイルは多様で、学術的な考察のみならず、エンターテインメント的な要素も含まれており、幅広い読者にアピールしました。

「城市郎文庫」の設立と蔵書の寄贈

2011年、城市郎は自らの蔵書を明治大学に寄贈し、「城市郎文庫」として整理されました。当初、約7000冊とされていた蔵書は、整理の結果、9237冊に達しました。このコレクションには筆禍図書や一般図書、雑誌などが含まれており、発禁本研究の宝庫となっています。特に、この膨大な蔵書は今後の研究活動において重要な役割を果たすと期待されています。

城市郎の影響と評価

城市郎は、発禁本研究の第一人者として、多くの後進の研究者やコレクターに影響を与え続けています。その業績は、ただ単に書物の収集にとどまらず、日本の文化や歴史の理解を深めるための重要な資源となっています。彼の著作やコレクションは、発禁本の理解を促進し、言論の自由について再考するきっかけを提供しているのです。彼の名前は、今もなお発禁本というジャンルにおいて語り継がれ、多くの人々に親しまれています。

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