執印テル

執印テル（しゅういん てる）

1915年（大正4年）3月10日 - 2007年（平成19年）9月25日。昭和時代のジャーナリスト、政治家として活躍しました。鹿児島県出水市（旧高尾野町）出身で、9人兄弟の7番目（次女）として生まれました。

政治信条

執印テルは、戦後の日本の変革期において、封建主義体制の崩壊と、GHQによる労働者や農民の解放、女性への参政権付与という大きな変化を目の当たりにしました。この新生日本の秩序の中で、彼女は女性の地位向上と社会福祉の実現に向けて情熱を注ぎました。

鹿児島女性連盟の活動は、薩摩における婦人解放の先駆けとしてジャーナリズムから高く評価されました。特に、忘れられがちな未亡人母子のための「婦人の街」建設は、多くの人々の努力によって実現し、その功績は広く称えられました。さらに、母子寮の建設も民間の力だけで完成させ、現在の千草母子生活支援施設は、全国母子生活支援施設協議会からも高い評価を得ています。また、国際交流にも積極的に取り組み、平成2年にはスリランカに3つの幼稚園を建設し寄贈しました。

市議会議員として7期28年の長きにわたり活動する中で、執印テルは世界的な男女平等運動の潮流に呼応し、女性の地位向上に尽力しました。特に、社会的に弱い立場の人々の福祉のために、彼女は自身のヒューマニズムを貫きました。生涯の信条としていたのは、郷土の教えである「出水兵児修養掟」でした。

略歴

1932年（昭和7年）：鹿児島県立出水高等女学校卒業後、朝鮮京城電話局に就職。
1935年（昭和10年）：満州国牡丹江鉄道事務所電気区に就職。
1937年（昭和12年）：天津電話局に就職、後に北京電話局に転勤。
1940年（昭和15年）：北京新聞社に入社、昭和18年には東京支店に勤務。
1944年（昭和19年）：大日本婦人会本部訓練部書記。
1946年（昭和21年）：南日本新聞社文化部記者として入社。同年、鹿児島女性連盟を結成し会長に就任。
1947年（昭和22年）：鹿児島家庭裁判所調停委員。
1948年（昭和23年）：鹿児島市母子更生連絡協議会会長。
1949年（昭和24年）：「婦人の街」建設委員会委員長。
1950年（昭和25年）：50戸の母子住宅「婦人の街」が完成。
1951年（昭和26年）：鹿児島市議会議員に初当選。以後7期28年務める。（昭和26年～平成4年）
1952年（昭和27年）：日本婦人新聞鹿児島支局長。
1954年（昭和29年）：千草母子寮を建設し、寮長に就任。（現：社会福祉法人千草会理事長）
1966年（昭和41年）：自由民主党鹿児島市支部婦人部長に就任。
1968年（昭和43年）：自由民主党鹿児島県支部連合会婦人局長に就任。（昭和43年～49年）
1972年（昭和47年）：鹿児島市議会厚生保健副委員長。
1980年（昭和55年）：日本看護連盟鹿児島支部顧問。
1984年（昭和59年）：鹿児島市議会副議長に就任。（1期2年、昭和59年～61年）
1996年（平成8年）：自由民主党鹿児島県連党紀委員長。
1997年（平成9年）：自由民主党鹿児島市支部長に就任。（平成9年～11年）同年、自由民主党鹿児島県連副会長にも就任。（平成9年～11年）
2004年（平成16年）：母子生活支援施設「第二千草寮」を開設。
2007年（平成19年）：大腸がんのため死去。享年92歳。

表彰・感謝状

執印テルの功績は、数々の表彰や感謝状によって称えられています。

1972年（昭和47年）：九州地区社会福祉協議会表彰、鹿児島県知事表彰。
1974年（昭和49年）：自由民主党田中角栄総裁表彰、功労章。
1980年（昭和55年）：自由民主党県連会長表彰。
1986年（昭和61年）：高尾野町町民表彰。
1989年（平成元年）：全国議長会地方自治功労表彰。
1991年（平成3年）：勲四等瑞宝章受章。
2000年（平成12年）：国際支援交流協会国際貢献賞を受賞。
2002年（平成14年）：国際ソロプチミストWHW（女性が女性を助ける）賞を受賞。
2005年（平成17年）：国際ソロプチミスト女性栄誉賞を受賞。
1979年（昭和54年）：鹿児島県母子福祉連合会より感謝状。
1981年（昭和56年）：日本看護連盟会長より感謝状。
1985年（昭和60年）：鹿児島県難聴言語障害児を持つ親の会より感謝状。
1998年（平成10年）：鹿児島県助産婦会より感謝状。
2006年（平成18年）：自由民主党小泉純一郎総裁より感謝状。

著書

執印テルは、自身の経験や思想をまとめた著書も残しています。

『心直にして』（1985年発行）
『てるてる照らせ 執印テル熱風人生録』（自費出版、2002年12月発売）ISBN 4-86074-008-4

執印テルの生涯は、困難な時代に立ち向かい、社会の弱者のために尽くした、まさに人道主義を体現したものでした。

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