執行猶予大隊

第二次世界大戦におけるドイツ軍の懲罰部隊：執行猶予大隊と懲罰大隊

第二次世界大戦中、ドイツ国防軍は、規律違反や犯罪を犯した兵士、あるいは兵役不適格とされた者を収容するための懲罰部隊を組織しました。これらは執行猶予大隊（Bewährungsbataillone）または懲罰大隊（Strafbataillon）と呼ばれ、過酷な環境下で任務を遂行しました。

特務支隊 (Sonderabteilungen)

再軍備後のドイツ国防軍は、国家と軍組織の体制維持のため、「潜在的な厄介者」や「破壊的要素」を兵役から排除しようとしていました。しかし、1935年の国防法では、破壊活動で司法処罰を受けた者のみが「兵役不適格者」とされました。軽犯罪者を含む「潜在的な厄介者」は規律の脅威でしたが、兵力としての価値も認められていました。

これらの者を隔離するため、最初の懲罰部隊として特務支隊が設置されました。第二次世界大戦前には9個の特務支隊が存在し、「軍人教育を通じて国家・民族への正しい認識を与え、名誉と義務への高い意識を持たせる」ことが期待されていました。特務支隊では一般部隊よりも軍規が厳しく、教育が重視され、休暇や帰郷にも厳しい制限が課せられました。更生が認められた者は一般部隊へ移動し、反抗的な者はザクセンハウゼン強制収容所に収容されました。戦争開始までに、3,000〜6,000人の国防軍兵士が特務支隊に送られ、うち約320人が強制収容所に送られたと推定されています。

戦争が始まると特務支隊は解散しましたが、すぐに野戦特務大隊という懲罰部隊が設置されました。戦況の激化に伴い兵力需要が高まると、軍規違反者や執行猶予者、兵役不適格者も特務大隊に送られるようになりました。

第500執行猶予大隊 („500er“ Bewährungsbataillone)

1940年12月21日、アドルフ・ヒトラーは、有罪判決を受けた軍人の処遇として「執行猶予を担う特別部隊での前線勤務」を指示しました。これが第500執行猶予大隊として編成されました。この部隊は実質的に「懲罰部隊」とみなされました。

1941年4月、死刑囚を含む有罪判決を受けた兵士の中から、戦力として価値があると見なされた者によって編成されました。第500大隊の隊員は、最前線で「並外れた勇敢」を示すことが求められ、さもなければ刑罰が執行されたり、エムスラント収容所に収容される可能性がありました。

第500大隊は約27,000人で構成され、そのうち約4分の1は監視と指揮を行う一般部隊出身の士官・下士官でした。この大隊は、軍規と命令の厳守が求められ、強力な部隊と見なされましたが、投入時の損害も非常に大きかったです。第500大隊は東部戦線や西部戦線に投入されました。

1943年には、武装親衛隊でも同様の執行猶予部隊として第500SS降下猟兵大隊が設置されました。

野戦囚人支隊 (Feldstrafgefangenen-Abteilungen)

1942年4月2日、総統命令により、ドイツ国防軍の懲罰規則が改定され、一部の犯罪については前線勤務で刑事罰が免除されるようになりました。

1942年5月、この規定に基づき、グラーツ、ゲルマース、アンクラムに野戦囚人支隊が設置されました。各支隊には有罪判決を受けた軍人200人が所属し、軍法会議では3年間の勤務が課せられました。敗戦までに22個の野戦囚人部隊が設置され、約20,000人の軍人が所属しました。

野戦囚人支隊は非武装のまま、東部戦線で「危険かつ困難」な任務を与えられました。これには、塹壕掘り、地雷除去、死体回収などが含まれていました。

第999執行猶予部隊 („Bewährungstruppe“ 999)

1942年10月、戦況が悪化し兵力が必要になったため、「兵役不適格者」とされてきた民間人が招集され、第999執行猶予部隊が設置されました。この部隊の隊員も、前線での勇敢さを示すことで名誉を回復し、規律を守る兵士と市民に生まれ変わることが期待されました。達成できない場合は刑務所に戻るか、強制収容所に送られました。

隊員のうち約28,000人は政治犯であり、バウムホルダー刑務所やホイベルク収容所から集められました。第999部隊は当初アフリカ戦線に展開し、後に東部戦線やバルカン半島を転戦しました。ギリシャではパルチザン狩りに従事しました。また、第999部隊の隊員約100人が離反し、占領地における対独抵抗運動に参加しました。