基地村

基地村とは

基地村（きちそん）は、韓国において在韓米軍基地の近くに位置する地域で、米軍兵士に飲食や性的サービスを提供する施設が集中しています。このような場は、基地周辺においてサービスを持たない純粋な農村とは異なり、特に米兵の需要に応じて作られた環境です。地域によっては、ソウル特別市の梨泰院など、都市圏内にある基地近くの地区も含まれますが、一般的には非都市部、特に非武装地帯付近に多く見られます。

基地村の女性たち

基地村で生活し働く女性たちは、社会からの偏見にさらされているため、一般社会とはほとんど関わりを持たないことが多いです。一般の韓国市民から見ると、基地村に住む人々は貧困や社会的な理由で周縁に追いやられた存在と見なされがちです。基地村においての活動は、国の経済にも寄与するとされ、米軍関係の売春が主要なビジネスとなっています。これらの事業は「韓国特殊観光協会」の免許を受けて行われ、政府と密接な関係があります。このため、これらの活動や米兵による犯罪は、一般の目には容易に隠されています。

基地村で働く女性たちは「洋公主」や「洋セクシ」などの蔑称で呼ばれています。また、1980年代まで「慰安婦」と言えば彼女たちを指す言葉として広く使われていました。多くの女性は、自らの選択でこの生活を選んだという偏見のため、社会的スティグマから逃れることが難しいのです。彼女たちは基地村を離れることは稀で、一度離れても家族から隠れて生活することが一般的です。かつては貧困層の女性たちが基地村に集められ、その存在が「韓国女性の純潔を守るため」だと考えられていました。

1960年代の制度化

基地村はもともと第二次世界大戦後に外国人兵士が進駐したことで自然に成立したものですが、性病の蔓延を防ぐために、米軍と韓国政府の共同の政策により売春が誘導され、制度化されました。1961年に売春を規制する法律を施行する一方で、外国人観光事業を振興する法律も制定され、特に海外からの観光客を対象とする売春事業が合法的に位置づけられたのです。1962年には、全国で104か所が指定された売春地区のうち、32か所が基地村であったとされています。

1990年代以降の変化

1990年代以降は、主にフィリピンやロシアからの女性たちが「エンターテナー」として基地村に入国し、売春の担い手となるケースが増えました。これにより、基地村の構成は異なる文化や背景を持つ女性たちによって変容していきました。

基地村の存在は、韓国社会における複雑な問題を浮き彫りにしています。制度化された売春と、その背景にある社会的な偏見や歴史的な経緯は、新たな視点をもたらす必要性を示しています。基地村の未来は、これらの複雑な要素がどのように交差していくのかにかかっています。

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