基本教練

基本教練（英：Military Drill）とは、軍隊における個人および部隊の基本的な動作を統制するための訓練です。これは、集団行動の基礎を築き、部隊の規律と効率性を高めることを目的としています。

基本教練の分類

基本教練は、その規模や内容によっていくつかのカテゴリに分類されます。

規模による分類:
各個教練: 個人が単独で行う訓練。不動の姿勢、敬礼、方向転換などが含まれます。
部隊教練: 分隊、小隊、中隊など、複数人で構成された部隊が行う訓練。整列、行進などが含まれます。

装備による分類:
徒手教練: 武器を持たない状態での訓練。
執銃教練: 小銃などの武器を持った状態での訓練。

動作の種類による分類:
停止間動作: 静止した状態で行う動作。気をつけ、休めなどが含まれます。
行進間動作: 歩行や行進中に行う動作。前進、方向転換などが含まれます。

基本教練の内容

基本教練は、不動の姿勢を基本とし、そこから様々な動作へと展開します。

不動の姿勢: 「気をつけ」の号令でとる姿勢。直立不動で、胸を張り、視線は正面を向き、両手は握り拳で体側に付けます。両足のかかとを揃え、つま先を60度開きます。この姿勢がすべての基本動作の起点となります。
方向転換: 前方、後方、左右への転換は、「回れ右」「右向け右」「左向け左」などの号令によって行われます。これらの動作は、部隊が円滑に移動するために不可欠です。
執銃時の動作: 小銃を持った状態での動作は、「立て銃」「下げ銃」「担え銃」など、様々な種類があります。これらの動作は、戦闘時だけでなく、式典などでも必要とされます。

基本教練の歴史と意義

基本教練の起源は、古代の密集隊形での戦闘に遡ります。16世紀にオランダのマウリッツによって体系化され、新兵教育に導入されました。現代の戦闘では直接的な役割は少ないものの、祭典での整列や行進など、規律を象徴する行為として未だに頻繁に使用されています。

各国によって基本教練の内容は異なりますが、基本的な動作は共通しています。例えば、日本では明治期にオランダ陸軍の教範が参考にされ、アメリカでは独立戦争時にプロイセン軍人のシュトイベンによって基礎付けられました。

各個教練の詳細

各個教練は、個人の動作を規定する訓練です。

気をつけ: 不動の姿勢であり、基本となる姿勢です。
休め: 気をつけの姿勢を解くための姿勢です。足を肩幅に開き、手を背後に組むなど、いくつかの種類があります。
方向転換: 「右向け右」「左向け左」「回れ右」などの号令で行われます。
敬礼: 上官に対する敬意を表す動作です。挙手の敬礼や捧げ銃の敬礼などがあります。

執銃時の動作の詳細

執銃時の動作は、小銃を保持した状態での動作を規定します。

控え銃: 執銃時の基本姿勢です。小銃を体の前で持ち、銃口が斜め上を向くように構えます。
立て銃: 小銃を地面に立てる姿勢です。
捧げ銃: 敬礼の際に小銃を捧げる姿勢です。

部隊教練の詳細

部隊教練は、部隊全体の動作を規定する訓練です。

整列: 部隊を縦隊または横隊に並べる動作です。間隔や隊形は規定されています。
行進間動作: 部隊で行う行進の動作です。前進、方向転換、停止などがあります。

行進間動作の種類

行進は、部隊の移動における基本的な動作です。

前へ進め: 前方への歩行を開始する号令です。
縦隊右（左）へ進め: 縦隊を維持したまま右（左）に方向転換する号令です。
右（左）向け前へ進め: 右（左）を向いて前進する号令です。
足踏み進め: その場で足踏みをする号令です。
駆け足進め: 駆け足で前進する号令です。
速足進め: 速足で前進する号令です。
並足進め: 並足で前進する号令です。

まとめ

基本教練は、軍隊における基本的な訓練であり、個人の規律と部隊の効率性を高める上で不可欠なものです。その内容は多岐にわたり、停止、行進、武器の扱い、敬礼などが含まれます。各国によって細部に違いはありますが、基本的な目的は共通しています。基本教練は、軍事教育の基礎として、現代でも重要な役割を果たしています。

もう一度検索