堀場厚

堀場 厚（ほりば あつし）

1948年2月5日生まれ。株式会社堀場製作所の代表取締役会長兼グループCEOを務める日本の実業家です。京都市で生を受け、現在も同地を拠点に活動しています。既婚で、一男一女の父でもあります。

来歴

京都市内の教育機関で学び、京都教育大学附属の小中学校、そして京都府立山城高等学校に進学しました。1971年3月には甲南大学理学部を卒業。卒業後間もない同年11月には、堀場製作所の米国子会社である米オルソン・ホリバ社に入社し、キャリアをスタートさせます。1972年9月には日本の堀場製作所に入社後、米ホリバ・インターナショナル社、米ホリバ・インスツルメンツ社といった米国関連会社に駐在。その間、さらなる学びを求め、米カリフォルニア大学アーバイン校（UCI）工学部に編入し、1975年に同学科を卒業しました。さらに同大学院の修士課程を修了し、1977年6月に電子工学の修士号を取得しています。

米国での経験を積んだ後、1977年12月に帰国し、堀場製作所の海外技術部長に就任。海外事業の責任者としてキャリアを重ね、海外本部長を経て、1982年6月には取締役に就任しました。その後、営業本部長などを歴任し、1992年1月には代表取締役社長に就任。2005年6月には代表取締役会長兼社長となり、2018年1月からは代表取締役会長兼グループCEOとして、グローバルに展開する企業グループの指揮を執っています。

人物と思想

堀場製作所の創業者である堀場雅夫氏の長男として生まれましたが、父親から直接、会社を継ぐよう促されたことは一度もないと語っています。創業者の研究者肌で国内事業に注力する姿勢に対し、自身は海外事業を中心に手掛けた経験から、経営観の違いから父と意見が対立することも少なくなかったといいます。社長就任は、二代目社長の大浦政弘氏からの推薦があったと聞いているそうです。自身の後継者に関しても、長男である堀場弾氏（現常務執行役員）に対し、会社を継ぐよう指示したことはなく、経営陣が経営者としての適性を見極め、判断すべきであるという考えを示しています。

生粋の京都人であり、企業経営においても「京都らしさ」が持つ独自性を重視しています。他社が成功した手法を安易に模倣するのではなく、京都の企業が持つ独自の価値観や矜持を活かすことの重要性を説いています。京都の財界活動にも熱心で、京都商工会議所の副会頭や京都経済同友会の代表幹事などを務め、地域経済の発展にも貢献しています。また、創業家出身の経営者として、短期的な成果に一喜一憂するのではなく、長期的な視点に基づいた経営や、現場を重んじる姿勢を大切にしています。経営の真髄は、数値化できない、あるいは金銭では測れない要素をいかに見抜くかにあり、四半期ごとの業績だけで企業の将来を判断することは近視眼であると、短期的な経営姿勢に批判的な見解を示しています。

プライベートでは、老舗旅館「柊家」のご令嬢と結婚しています。また、ワコールホールディングスの名誉会長である塚本能交氏は、小中学校時代の同級生であり、互いに京都を代表する企業の創業者を父に持つという共通点もあり、深い親交があります。現在の京都商工会議所では、塚本氏が会頭を務め、堀場氏が副会頭として共に活動しています。

幼少期は、工場と自宅が一緒になった環境で、工員たちに囲まれて過ごしました。その後、父が購入した檜づくりの家は、現在、堀場製作所の迎賓館「雅風荘」として活用されています。

主な社外活動・受章

企業経営だけでなく、社外でも多岐にわたる活動を行っています。ソフトバンク株式会社や住友電気工業株式会社の社外取締役を務め、企業のガバナンス強化に関与しています。また、一般社団法人日本電気計測機器工業会や一般社団法人日本分析機器工業会の会長として、業界の発展にも尽力しました。京都経済界での前述の活動に加え、産業構造審議会委員なども務めています。

国内外での功績も高く評価されており、1998年にフランス国家功労章オフィシエ、2010年にはレジオン・ドヌール勲章シュヴァリエを受章しています。さらに、2019年春には日本の叙勲として旭日中綬章を受章しました。

著書

経営に関する著書も複数出版しています。

『京都の企業はなぜ独創的で業績がいいのか』（講談社）
『難しい。だから挑戦しよう』（PHP研究所）

これらの著書を通じて、独自の経営哲学や京都ならではの企業文化についての考えを示しています。

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