堀籠佳宏

堀籠佳宏

堀籠佳宏（ほりごめ よしひろ）は、1981年1月2日生まれ、宮城県出身の日本の陸上競技選手。専門は400メートル競走。現役時代は富士通に所属し、日本代表として世界的な舞台で活躍した。引退後も指導者、強化委員として日本陸上界の発展に貢献している。

競技者としてのキャリア

宮城県泉館山高等学校を経て日本体育大学体育学部を卒業し、同大学大学院を修了した。陸上競技は中学時代に100メートルを中心に始めたが、高校では200メートルが主となり、インターハイや国民体育大会で頭角を現す。特に高校3年時には400メートルで全国大会入賞を果たすなど、徐々に長い距離への適性を示し始めた。

日本体育大学進学当初は200メートルにこだわりを持っていたが、同世代のトップ選手である末續慎吾との練習で自身のレベルを再認識し、以降は400メートルに本格的に取り組むようになった。この専門転向が、その後の輝かしいキャリアの礎となる。

学生時代から国際大会に出場する機会を得た。2003年にはテグユニバーシアードの日本代表に選ばれ、4×400メートルリレーで4位に入賞する。2005年にはヘルシンキ世界選手権の代表に滑り込みで選出され、同種目に出場したが、残念ながらバトンパスの規定違反により失格となった。しかし、同年には300メートルで32秒82の日本最高記録を樹立するなど、個人としても高い能力を示した。同年のイズミールユニバーシアードでは4×400メートルリレーで日本学生記録を更新し銀メダルを獲得。さらに、11月の東アジア大会では400メートルで46秒44の好タイムをマークして金メダルに輝き、4×400メートルリレーでも優勝して二冠を達成するなど、日本のトップ選手としての地位を確立した。

2006年にはドーハアジア大会の4×400メートルリレーに出場し4位入賞。この年のスーパー陸上400メートルでは、国内のライバルや海外の強豪選手を抑えて45秒77の好記録で優勝し、世界選手権参加標準記録を突破した。また、日本グランプリ南部記念陸上でも優勝するなど好調を維持した。

2007年には大阪世界選手権、2008年には北京オリンピックにそれぞれ4×400メートルリレーの日本代表として出場。特に北京オリンピックでは第3走者としてチームを牽引し、日本人選手中最速のラップタイムを記録するなど、世界の舞台で存在感を示した。

国内においては、2006年から2009年にかけて東日本実業団選手権および全日本実業団選手権の400メートルでそれぞれ4連覇を達成した。特に2006年の全日本実業団選手権では45秒88の大会記録を樹立するなど、実業団選手として圧倒的な強さを見せつけた。

2009年には、かつて全日本学生選手権女子100メートルで優勝した経歴を持つ成瀬美紀と結婚した。

2012年には東日本実業団選手権で優勝するなど依然として高いレベルを維持していたが、ロンドンオリンピックの代表選考会であった日本選手権で惜しくも決勝進出を逃したことを機に現役を引退した。

引退後の活動

現役引退後は、ユメオミライ株式会社の代表取締役を務める傍ら、指導者および強化担当者として日本陸上界に深く関わっている。日本陸上競技連盟の強化委員（日本代表短距離コーチ）として、2016年リオデジャネイロオリンピックにおける男子4×100メートルリレーでの歴史的な銀メダル獲得に大きく貢献した功績は特筆される。

また、一般社団法人日本実業団陸上競技連合の強化委員としても活動しており、日本陸上界全体のレベルアップに向けた取り組みを担っている。日本スポーツ協会公認コーチ（陸上）や世界陸上競技連盟公認コーチの資格を保有しており、豊富な知識と経験を活かした指導を展開。東京都で自身の陸上クラブを設立し、小中学生を中心にコーチングを行っている。このクラブからは毎年のように全日本中学総体、ジュニアオリンピック、日本室内陸上競技大会などの全国規模の大会で優勝者を輩出しており、指導者としても確かな実績を上げている。

後進の育成からトップレベルの強化まで、多角的な視点から日本陸上競技の発展に尽力し続けている。

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