堀見末子

堀見末子：明治期を彩った土木技術者

堀見末子（ほりみ まっす/すえこ、1876年 - 1966年）は、日本の黎明期における土木技術者、そして都市計画家として、その名を歴史に刻みました。高知県佐川町に生まれた彼は、明治という激動の時代に、日本国内のみならず、アメリカ合衆国、そして台湾という異国の地で、その才能を開花させました。

学びと初期の活動

堀見は、高知中学校から熊本の第五高等学校工学部へと進み、その後、東京帝国大学工学部土木工学科で、同郷の広井勇に師事しました。1902年（明治35年）に卒業後、東京市市区改正委員会嘱託技師として1年間、市区改正事業に従事し、そのキャリアをスタートさせました。

アメリカでの経験

その後、堀見は渡米し、カンサスシティーのワデル・ヘドリック工務所にて、6年間、土木工事の設計と施工に携わりました。この間、彼は実践的な技術と知識を習得し、国際的な視野を養いました。

台湾での活躍

1909年（明治43年）、堀見は在米のまま臨時台湾工事部に転任し、台湾での活動を開始しました。1年間の土木施設調査活動の後、翌年には台湾に着任し、臨時台湾総督府工事部土木技師、そして台湾総督府民政部土木課技師として、台湾のインフラ整備に尽力しました。1919年（大正7年）からは台湾電力株式会社技師長として、日月潭水力発電所の建設監督指導にあたりましたが、事業破綻のため1925年（大正14年）に内地へ引き上げました。

主な業績

堀見の業績は多岐にわたりますが、特に注目されるのは以下の点です。

明治橋（現・中山橋）の改修: 木造床版を鉄網コンクリートに改修し、橋の耐久性を向上させました。
后里の橋梁改修: 后里に架かる数十の木造橋をすべてRC造（鉄筋コンクリート造）に改修し、安全性を高めました。
台湾全島国土計画・全島道路網計画への参画: 台湾の発展を見据えた長期的なインフラ整備計画に貢献しました。
基隆港ビル建築群: 基隆港の近代化に貢献する建築群の建設に携わりました。
新店渓堤防及び護岸工事: 河川の氾濫を防ぎ、住民の生活を守るための工事を指揮しました。
角板山道路、鮮澳花蓮港間道路（蘇花）道路: 交通の要となる道路建設に尽力しました。
* 大安渓護岸工事: 河川の侵食を防ぎ、土地を守るための工事を行いました。

これらの業績は、堀見の技術力とリーダーシップを示すものであり、台湾のインフラ整備に大きな貢献を果たしました。

その後の隠遁生活

台湾電力事業の失敗後、堀見は故郷の高知に隠棲し、その生涯を閉じました。しかし、彼の残した功績は、今日でも多くの人々に語り継がれています。

関連人物

堀見は、物理学者として知られる寺田寅彦と、高校・大学と同窓であり、深い親交がありました。このことも、彼の幅広い知識と人間関係を示すエピソードと言えるでしょう。

まとめ

堀見末子は、明治期という激動の時代に、国内外でその才能を発揮した偉大な土木技術者であり、都市計画家でした。彼の業績は、日本の土木技術の発展に大きく貢献し、特に台湾のインフラ整備に大きな足跡を残しました。彼の生涯は、次世代の技術者たちにとって、大きなインスピレーションとなるでしょう。

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