堂ノ上遺跡

堂ノ上遺跡について

滋賀県大津市神領にある堂ノ上遺跡は、奈良時代から平安時代前期にかけて存在した官衙の跡地であり、1978年3月に国の史跡に指定され、その後2002年には指定範囲が拡大されました。この遺跡は、古代の官道が通る位置にあり、琵琶湖から流れる瀬田川の近くにあります。遺跡自体は比高8メートルの独立丘陵上にあり、周囲には他の古代官衙関連遺跡も集中しています。堂ノ上遺跡は、「延喜式」に記載のある勢多駅の跡地とも考えられており、その重要性が伺えます。

遺構の詳細

堂ノ上遺跡に残された官衙の施設は、奈良時代の8世紀半ばに創設され、平安時代前期、9世紀後半から10世紀前半に廃止されたとされています。遺構は主に二つの種類に分かれ、一つは礎石建てや瓦葺の建物群跡、もう一つは掘立柱建物群跡です。これらの遺構は重なり合っていますが、年代的には礎石建ての建物群が先に存在していたと考えられています。

礎石建ての建物群には、東西棟の正殿と後殿と見られる建物、さらにその東南にある南北棟の脇殿が存在していたとされています。この正殿の礎石は現存せず、その完全な姿を知ることはできませんが、平面の規模は東西に21メートル、南北に9メートルに及ぶ大きさであることが分かります。一方、脇殿は礎石の根石が残っており、南北に4間、東西に1間（実長にして12.0×4.5メートル）であったことが確認されています。

掘立柱建物群では、先述の礎石建ての建物群が縮小再建された形のものであり、正殿は5間×3間（実長12.0×6.3メートル）の高床建物として復元され、南方には左右に脇殿が存在していました。これらの建物は、掘立柱によって囲まれており、築地の壁は存在しませんでした。

出土品の中には、承和11年（844年）の年記を持つ瓦が発見されており、これにより瓦葺の建物が少なくとも844年まで使用されていたことが明らかとなっています。これらの出土品や遺構は、当時の官衙の姿を物語る貴重な証拠となっています。

結論

堂ノ上遺跡は、奈良時代から平安時代にかけての日本の官衙の一端を知る貴重な場所であり、その発見や研究によって、古代日本の社会や文化への理解が深まっています。今後もこの遺跡を通じて、歴史の魅力を発見していくことが期待されます。

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