堕ちた鳥のバラード

堕ちた鳥のバラード

『堕ちた鳥のバラード』（おちたとりのばらーど）は、フォークシンガー岡林信康が1971年8月25日にURCレコードから発表したシングル作品である。このリリースが、岡林がURCレーベルから発表した最後の作品となった。彼は本作を最後に、次の活動の場をCBS・ソニーへと移すこととなる。

解説

本作に収録されたA面「堕ちた鳥のバラード」とB面「いくいくお花ちゃん」は、ともに佐藤信が作詞、岡林信康が作曲と歌唱を手がけている。これらの楽曲は、岡林自身も出演した当時の著名な演劇集団、演劇センター68/71による舞台『翼を燃やす天使たちの舞踏』のために特別に書き下ろされ、劇中歌として披露されたものである。

表題曲である「堕ちた鳥のバラード」は、同年にリリースされた彼の3枚目のアルバム『岡林信康アルバム第3集 俺ら いちぬけた』にも収録されているが、このシングルに収められているのはそれとは異なるバージョンであり、海外、具体的にはカナダで録音された音源が採用されている。このカナダでの録音は、岡林が新しい表現を模索する時期の一端を示す出来事であったと言えるだろう。

ジャケット写真も印象的で、プロデューサーの秦政明によって撮影されたものである。この写真は1971年10月3日、カナダのケベック市にある古城を背景に撮影された。手前には、アーティスト黒田征太郎の弟にあたる黒田泰蔵とその妻ジネット夫妻が写り込んでいる。

収録曲

全作詞：佐藤信
全作曲・歌：岡林信康

1. 堕ちた鳥のバラード（カナダ録音盤） – (4:15)
2. いくいくお花ちゃん – (3:51)

レコーディング・メンバーとスタッフ

堕ちた鳥のバラード（カナダ録音盤）

カナダ・モントリオールのカヌサレコードスタジオにて、1971年9月28日と30日に録音されたこのバージョンには、カナダ現地のミュージシャンが多く参加している。

唄: 岡林信康
アコースティック・ギター: Dougie Treever
エレクトリック・ギター: Rouald
ピアノ: Gerry Devilliers
オルガン: Tony Roman (ミキサーも兼任)
ベース・ギター: Serge Blovin
ドラム: Marcel Huot

スタッフ:

エンジニア: Hubert Lesker, Jean Guy Milo
プロデュース: 秦政明
A.D.: 吉野玉木

いくいくお花ちゃん

日本のビクタースタジオにて、1971年6月2日、5日、9日に録音されたこの楽曲には、当時の日本の音楽シーンを代表するミュージシャンたちが参加している。

唄、ギター: 岡林信康
ピアノ: 柳田ヒロ (ディレクターも兼任)
ドラム: 戸叶京助
ベース・ギター: 高中正義
アコースティック・ギター: 鈴木慶一, 和田博己
コーラス: 安田南, 宇佐美じゅんこ, 吉見佑子

スタッフ:

ディレクター: 田川律, 柳田ヒロ, 岡林信康
プロデュース: 秦政明
A.D.: 蔭山正治
ミキサー: 梅津達男

収録アルバム

本作の楽曲は、以下のアルバムにも収録されている。

『岡林信康アルバム第3集 俺ら いちぬけた』（1971年） - 「堕ちた鳥のバラード」（別バージョン）と「いくいくお花ちゃん」が収録されている。
『岡林信康URCシングル集+8』（2009年） - シングルと同じ「堕ちた鳥のバラード」と「いくいくお花ちゃん」が収録されている。

このシングルは、日本のフォークシーンにおける一つの時代を築いたURCレコードからの最後の作品として、また、岡林信康のキャリアにおいて、演劇との関わりや海外録音への試みが見られた興味深い時期の記録として、重要な位置を占めていると言えるだろう。

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