堺焼き討ち

堺焼き討ち

堺焼き討ち（さかいやきうち）は、慶長20年（1615年）の大坂夏の陣において、豊臣方の武将である大野治胤が、手勢2000を率いて堺を焼き払ったとされる事件です。

概要

大坂夏の陣は、豊臣家と徳川家の間で行われた大坂の役における最後の戦いです。この戦いにおいて、豊臣方は劣勢に立たされており、大野治胤は、徳川方の兵站拠点となっていた堺への攻撃を決意しました。

堺は当時、経済的に重要な都市であり、多くの商人が集まっていました。徳川方は、堺を兵站拠点として利用し、物資や兵糧を調達していました。大野治胤は、堺を焼き払うことで、徳川方の兵站を断ち、戦局を有利に運ぼうとしたと考えられています。

焼き討ちによって、堺の街は大きな被害を受け、多くの建物が焼失しました。住民も避難を余儀なくされ、堺の経済は大きな打撃を受けました。

戦後

大坂城が落城した後、大野治胤は逃亡を試みましたが、5月21日に京都で徳川方に捕らえられました。治胤の捕縛を知った堺の住民たちは、かつて平重衡が南都を焼き討ちした際、南都衆に引き渡された例を挙げ、京都所司代の板倉勝重に治胤の身柄引き渡しを求めました。

勝重はこれを認め、治胤は6月27日に火あぶりの刑に処されました。しかし、勝重は「南都の人々も重衡に同じことをしたのか？」と堺の人々を諌めたと伝えられています。

この事件後、幕府は堺の復興に尽力しましたが、かつてのような繁栄を取り戻すことはできませんでした。堺は経済的な中心地としての地位を失い、その後の歴史の中で徐々に衰退していきました。

堺焼き討ちは、戦国時代の終わりにおける悲劇的な出来事の一つであり、戦乱が都市にもたらす破壊と影響を物語る出来事として、歴史に刻まれています。この事件は、戦の無情さを示すとともに、都市の復興がいかに困難であるかを示す教訓ともなっています。

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