堺田越

堺田越（さかいだごえ）

堺田越は、山形県最上郡最上町と宮城県大崎市との境に位置する標高350mの峠です。別名、中山峠とも呼ばれています。奥羽山脈を横断する峠としては比較的標高が低く、なだらかな地形が特徴です。

概要

国道47号が峠を越えており、頂上には最上町堺田集落とJR陸羽東線堺田駅があります。この集落は分水嶺の真上に位置しており、駅前には珍しい「地上に露出した分水嶺」を見ることができます。これは、一本の水路が流れの中で自然に日本海側と太平洋側に分かれるという、非常に興味深い現象です。

堺田越は、奥羽山脈を横断する峠の中では標高が低い方であり、そのために最上町にはやませ（太平洋側からの冷たい風）が流れ込みやすく、冷害の原因となることもあります。道路は非常に直線的で状態が良いため、大型トラックが頻繁に利用しています。これは、並行する国道48号や108号のルートよりも走行しやすいことが理由です。特に仙台市や大崎市から、新庄市を経由して庄内地方や秋田県へ向かうトラックにとって、重要なルートとなっています。

歴史

古くから、現在の仙台市から大和町、加美町、大崎市岩出山を経て、太平洋と日本海を結ぶ重要な交通路として利用されてきました。舟形街道の一部として、清水河港から最上川を下り、酒田港へと至る物流ルートや旅のルートとして重要な役割を果たしました。江戸時代には、仙台藩と新庄藩がそれぞれ関所を設けていました。俳人松尾芭蕉もこの地を訪れており、関所番人の家（封人の家、旧有路家住宅）に滞在し、「蚤虱（のみしらみ）馬の尿（しと/ばり）する枕元」という句を詠んでいます。

現在でも、当時の街道の一部が「出羽仙台街道」として残っており、大崎市尿前の関から最上町笹森集落まで、旧街道を探索することができます。

まとめ

堺田越は、単なる峠というだけでなく、分水嶺という地理的な特徴、歴史的な街道、そして文化的な背景を持つ場所です。現在も重要な交通路として機能しており、その歴史と自然の豊かさを感じることができる場所です。

関連項目

* 日本の峠一覧

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