塀 (城郭)

城郭の塀について

城郭における塀は、防御の要となる重要な構造物で、城壁や城塁の上に設けられる壁のことを指します。主に、敵の攻撃から城を守るための役割を果たします。

日本における塀の歴史

日本では江戸時代以前、塀を設けることを「掛ける」や「付ける」と表現しました。城の塀は、主に石垣や土塁の上に構築され、特に板塀と土塀の二種類が存在します。中世以降には土塀が主流となり、大きな役割を担いました。

古代の日本の防御施設とされる「城（き）」には、政庁や寺院でも使用された築地塀が見られ、「版築土塀」による構造が用いられました。版築土塀は、木製の板を立ててその中に土を詰め固めて造られるもので、この技術が近世城郭の土塀施工の基本となりました。また、東北地方の多賀城では、堅固な外郭城壁の塀として角材を並べた「柵（き）」の形態も存在しました。

中世以降となると主に土壁の塀（土塀）が用いられるようになり、小規模な土塁が塀の代わりをすることもありました。この頃の土塀は厚さが約90ミリとされ、外部に向けて矢を射るための狭間が設けられていました。狭間は、城の防衛において重要な要素とされました。

『築城記』に記載されている通り、山城の塀の高さは約1.58メートル、平城では約1.88メートルとされ、これは現在の逆井城跡の塀復元に基づいています。戦国時代の後半、鉄砲の普及に伴い、さらに防御力が求められるようになりました。このため、塀の壁の厚さは2.1センチメートル以上になることが一般的となり、名古屋城の土塀では内側にケヤキの板を使用して、さらなる防弾性が追求されるようになりました。

土塀の構造

土塀には主に二つの形態があり、骨組みのあるものとないものに分かれています。

骨組みのある土塀

このタイプの土塀は、木材で骨組みを組み、その上に竹の格子を編み込んで壁土を塗り固めます。外壁仕上げは、主柱を見せる真壁仕上げや、一部に下見板を張るなど多様なスタイルがあります。また、通常は控え柱や控え塀を伴い、土塀の攻撃や物見が可能です。これにより、防御力の向上が図られます。

骨組みのない土塀

一方、骨組みのない土塀は、主に使用済みの瓦や小石を混ぜた壁土を固めて構築される形態です。このように造られた塀には「練塀」や「太鼓塀」という呼称があり、特に姫路城や復元された臼杵城に多くの現存例が見られます。さらに、名古屋城では「南蛮練塀」という特殊な形状の土塀もあり、強度を増すために砂と石灰などの添加物が含まれています。

現存する土塀

明治の西洋化の波により、土塀はほとんど現存しなくなりましたが、一部には2,306.4メートルの延長が今も保持されている場所もあります。最も長い現存の塀は熊本城のもので、252.7メートルにわたります。

まとめ

城郭の塀は、その防御機能において非常に重要な役割を果たしてきました。日本における塀の発展と構造の変化は、時代の流れと共に進化し続けています。

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