塚本虎二

塚本虎二について

塚本虎二（つかもと とらじ、1885年8月2日 - 1973年9月9日）は、日本のキリスト教無教会主義の伝道者として広く知られています。彼は新約聖書の研究に専念し、その著作を通じて信仰の本質と無教会主義の理念を広めました。

生い立ちと教育

塚本は福岡県朝倉郡久喜宮村にて、炭鉱経営者の家庭に生まれました。多くの兄弟の中で育ちながら、仏教を基盤とした教育を受けました。1904年には福岡県立中学修猷館を卒業し、一時はキリスト教信仰に対して疑念を抱いていましたが、その後ドイツ語の教授との出会いを契機にキリスト教に対する考えが大きく変化しました。

東京帝国大学に進学後、内村鑑三の影響を受けて強い信仰を持つようになり、25歳でキリスト教徒になることを決意しました。しかし、聖公会からの洗礼は実現しませんでした。この経験は彼の後の無教会主義の考え方にも影響を与えました。

職業と伝道の道

1911年、塚本は農商務省に入省し、1919年に退官後は聖書研究に専念しました。一度はドイツ留学の準備を整えましたが、関東大震災で妻を失ってしまいました。その苦しみの中で、「神は愛なり」という啓示を受け、伝道活動を始めました。

彼は無教会主義の立場を強め、礼典を廃すことを提唱しました。内村鑑三の思想から独立し、1930年には「東京聖書知識普及会」を創立、1944年までに新約聖書の口語訳を完成させました。塚本の信念として、一部救済説を否定し、全ての人が救済されるという万民救済説に重点を置いていました。

著作と影響

塚本は多くの著作を残しました。主な著書には『主の祈の研究』や『基督教十講』などがあり、これらの出版は日本におけるキリスト教理解の深化に寄与しました。彼はまた信仰の探求に役立つ多くの翻訳も手掛け、特に『新約聖書』の翻訳は今も評価されています。

生涯を通じて塚本虎二は、信仰の本質を探求し続けました。その活動は、信仰を持つ人々だけでなく、彼の著作に触れるすべての人々に影響を与えています。1973年に他界した彼の思想は、無教会主義を通じて受け継がれ、今日のキリスト教界にも大きな影響を及ぼしています。彼の墓所は多磨霊園にあります。

『私の無教会主義』の中で、彼は自身の信仰体験を語り、宗教の多様性や教義からの独立した信仰の重要性を訴えています。塚本虎二の新約聖書に対する深い理解は、無教会主義の理念を広げる原動力となりました。

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