塩税

塩税（えんぜい）とは

塩税は、食塩に課される税金を指します。この税制は古代から広く存在し、特にフランスにおけるガベルという名称で知られています。塩は、生命維持に欠かせないものであり、そのため支配権力にとっては重要な収入源となってきました。一般的には、塩の生産や販売に基づく顕著な間接税ではなく、専売制の形をとることが多いです。この税金の徴収は、国家の形成や中央集権化の過程と密接に関連しており、中央権力と地方権力の相互関係を示しています。

塩税の地域差

フランスでは、塩税は地域によって異なりました。6つの区域に分割され、高い税率が課される地域や免税の地域が存在しました。これらの地域は大塩税地方、小塩税地方、免除地方といった分類がなされており、各地域の経済状況により塩税の負担具合が大きく変化しました。

「ガベル」という名称の語源には、ロマンス語やアラビア語が挙げられ、課税を意味します。この用語は13世紀から使われ始め、塩のガベルは1341年に制定された王令から始まりました。

歴史的背景

1341年、フランスのフィリップ6世によって、王国内の塩を管理するための原則が打ち出されました。この王令により、塩の貯蔵庫が建設され、役人がその管理を任されることとなりました。

それまでは臨時的な租税制度が運用されていましたが、1355年に北フランスで開催された三部会を契機に、消費税が承認され、その中に塩税も含まれることとなりました。この際、税率は約3.3％に設定され、戦費のための資金を集めることが目的でした。この課税により、大規模な軍隊を維持するための資金調達が期待されたのです。

南フランスでも1359年に南仏三部会で塩税が導入され、一般的な税制として定着しました。1366年には、シャルル5世の王令により、塩は王が管理する倉庫に集められ、税金がその価格に上乗せされることが定められました。この制度は1790年のフランス革命まで続きました。

ヴォーバンの批判

フランスの元帥ヴォーバンは、塩税に対して厳しい批判を行いました。彼は次のような6つの理由を挙げています。
1. 塩の製造所は王家の所有物ではない。
2. 製塩所は適切に監視されていない。
3. 多くの特権を持つ個人や集団が存在し、余剰塩を売買している。
4. ガベルのない地域があるため、県境に軍が駐留する必要があり、そのコストがかかっている。
5. 塩の価格に地域差があり、それが密売を助長している。
6. 塩税による地方の負担が不均衡を生んでいる。

これらの議論は、塩税の是非や地域に対する影響を考える上で重要です。塩税は単なる税金ではなく、社会構造やその変遷を表す一つの象徴であったのです。このような背景を理解することで、塩税の影響とその歴史的意義を深く考察することができます。

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