墺土戦争 (1787年-1791年)

墺土戦争概要

墺土戦争（1787-1791年）はオーストリアとオスマン帝国の間で繰り広げられた激しい戦争であり、ロシアとオスマン帝国の対立が根底にありました。この戦争は、18世紀のオスマン帝国とロシア帝国の複雑な国際関係の中で発生したもので、オーストリアがロシアと結んだ同盟により、自国の利益を守るために介入した経緯があります。

開戦の背景

1787年8月、オスマン帝国はロシアに対して宣戦布告を行いました。これはロシアの挑発が続いた結果、耐えかねたオスマンの決断によるものでした。オーストリアは1781年からロシアとの同盟を結んでおり、介入を狙っていましたが、当時の国内情勢は不安定でした。特にオーストリア領ネーデルラントでの支配への不満や新興国プロイセン王国の脅威が影響を与えていました。このような背景から、オーストリアの参戦はタイミングの悪い決断とも言われています。

さらに、オスマン帝国は宣戦布告の際に誤算がありました。ロシアの立場は「防衛戦争」としての正当性を持ち、他のヨーロッパ諸国の支持を得ることを可能にしました。

戦争の経過

オーストリアは1788年に開戦しましたが、ロシアの準備が遅れたため、オスマン軍は迅速に戦力を集結させました。オーストリアはロシアからの支援を期待していましたが、実際の支援は終盤にしか行われず、オスマン軍との直接的な接触を避けたいという姿勢も影響を及ぼしました。

オスマン軍はドナウ川を越えてオーストリア領へ侵攻し、両軍とも物資不足と疫病に悩まされました。特にオーストリア軍は多くの難民を抱え、その結果として兵站の問題が生じ、士気にも悪影響を及ぼしました。それでも、オーストリア軍は一時的に有利に進め、ベオグラードを陥落させ、ハプスブルクの占領下に置くことに成功しました。

連合軍は幾つかの戦闘で勝利を重ねましたが、前線ではマラリアなどの病が蔓延し、開戦当初の優位性は次第に薄れていきました。ヨーゼフ2世は戦場に赴いていましたが、病に倒れ、1790年2月20日に亡くなります。

戦争の結果

ヨーゼフ2世の死後、オーストリアは新たに即位したレオポルト2世のもとで講和を余儀なくされました。1791年8月に結ばれたシストヴァ条約では、オーストリアは僅かな成果しか得ることができず、大半の占領地をオスマン帝国に返還しました。一方でロシアはクリミア半島やオチャーコフの領土を獲得し、オスマン帝国に対する優位性を確立しました。

フィナーレ

この戦争による影響はオーストリアにとって深刻で、特に経済が打撃を受けました。国債や物価の高騰は市民不安を引き起こし、ウィーンでは暴動が発生。また、戦争中には多くの文化活動も停滞しました。モーツァルトが宮廷音楽家の地位を失ったことは特に有名であり、この戦争がオーストリアに与えた影響の一端を示しています。

墺土戦争はオスマン帝国の衰退過程において重要な出来事となり、セルビアなど周辺地域の歴史にも大きな影響を与えました。

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