売ります。赤ん坊の靴。未使用

「売ります。赤ん坊の靴。未使用」：6単語の物語

「売ります。赤ん坊の靴。未使用」（For sale: baby shoes, never worn）は、たった6単語で構成された非常に短い物語です。これは、フラッシュフィクションやサドンフィクションと呼ばれる、極端に短い小説の一例として知られています。

ヘミングウェイとの関連性

この物語は、アーネスト・ヘミングウェイの作品として広く知られていますが、彼に帰属することの信憑性については議論があります。一般的には、ヘミングウェイが作家仲間との賭けで、6つの単語で物語を作ることができると豪語したという逸話が語られています。

あるレストランで、ヘミングウェイは「6つの単語で物語を作る」という賭けに勝ち、ナプキンに「売ります。赤ん坊の靴。未使用」と書いて賞賛を浴びたと言われています。しかし、この逸話は確かな証拠があるわけではありません。

歴史

興味深いことに、この物語の原型と思われる記事が、ヘミングウェイがまだ10歳だった1910年にすでに存在していました。また、1917年には、赤ん坊を亡くした女性を描いた物語の中で、「小さな靴、未使用の」というフレーズが登場しています。これらの事実は、この物語のアイデアがヘミングウェイ独自のものではない可能性を示唆しています。

1921年には、この物語のパロディも登場しており、靴の代わりにベビーカーを用いたバージョンが発表されました。このパロディでは、ベビーカーが売りに出された理由が、実は双子が生まれたためだったというオチがついています。

ヘミングウェイとの関連が初めて言及されたのは1991年であり、彼の死後30年経ってからのことでした。1996年には、ジョン・デグルートによる一人芝居「パパ」の中で、この6つの単語がヘミングウェイ流の簡潔さを示すものとして用いられ、ヘミングウェイとの関連がより強固なものとなりました。

その後

この物語は、当初「ショートショート」として認識されていましたが、後に「フラッシュフィクション」という名称で呼ばれるようになりました。特に英語圏では、6単語という制約が「6単語の回顧録」（Six-Word Memoirs）という新たなコンセプトを生み出すなど、大きな影響を与えました。

まとめ

「売ります。赤ん坊の靴。未使用」という6単語の物語は、その短いながらも深い表現力で、多くの人々の心を捉えてきました。ヘミングウェイとの関連性については議論の余地がありますが、フラッシュフィクションというジャンルを確立する上で重要な役割を果たしたことは間違いありません。

この物語は、言葉の力を最大限に引き出し、読者の想像力を刺激する、文学の可能性を追求した作品と言えるでしょう。

もう一度検索